創傷管理技術更新・文献確認:2026年8月29日

包帯法

巻く形を覚える前に、何を支え、どこを観察できるようにするかを決める。均一に巻き、前後の変化を比べる学習ノート。

学習用。創傷、骨折、術後、浮腫、血管疾患では目的と必要な圧が異なる。ドレッシング材、包帯、固定具の電子添文・製品説明書、医師の指示、院内手順を優先する。

注意事項

巻く前の状態を残す
  • 痛み、しびれ、運動、皮膚色、温度、毛細血管再充満、腫脹を確認する
  • 四肢は可能な範囲で左右差と本人の基準値を比べる
  • 創、出血、皮膚障害、感染兆候、アレルギー、骨折・脱臼の疑いを確認する
  • 固定目的、関節肢位、露出して観察する末梢部位を決める
異常があれば「様子を見る」だけにしない
  • 予想以上に強い痛み、他動運動で増える痛み
  • しびれ、感覚低下、指趾が動かしにくい
  • 蒼白・チアノーゼ、冷感、毛細血管再充満の遅れ
  • 包帯の上下に増える腫脹、食い込み、出血・浸出液の急な増加

包帯の役割を分ける

包帯の目的を被覆材の固定、圧迫、支持、固定の4つに分けて示す図
同じ包帯でも目的が違えば、材料、巻き方、強さ、観察項目が変わる。
  • 被覆材を保つ:創面に直接触れる材料をずれにくくする
  • 圧迫する:止血や腫脹管理など、指示された圧を患部へ伝える
  • 支持する:関節や軟部組織を支え、動作時の負担を減らす
  • 固定を助ける:副子や保護材を所定の位置に保つ

包帯は創面へ直接当てる材料とは限らない。創には目的に合う被覆材を置き、その上から包帯で支持・固定する。

材料を選ぶ

巻軸帯、弾性包帯、自着性包帯、ネット包帯、三角巾の特徴を比較する図
伸縮性、自着性、通気性、皮膚への刺激、必要な幅を確認する。
  • 巻軸帯:被覆材や副子の固定に用いる。部位に合う幅を選ぶ
  • 弾性包帯:伸ばし方で圧が変わる。巻いている間も緊張を一定にする
  • 自着性包帯:包帯同士が付着する。重なりや引き伸ばしすぎに注意する
  • ネット包帯:頭部・関節などで被覆材を保持しやすい。サイズと食い込みを確認する
  • 三角巾:広い範囲の被覆や上肢の支持に使える。結び目の圧迫を避ける

巻き方を使い分ける

環行帯、螺旋帯、折転帯、8の字帯、反復帯の巻き方と適する部位を比較する図
巻き始めと終わり、部位の太さ、関節の動き、覆いたい形から選ぶ。
  • 環行帯:同じ場所へ重ねて巻く。巻き始め・巻き終わりの固定に使う
  • 螺旋帯:前の層へ幅の1/2〜1/3ほど重ねながら進む。太さが比較的一定の部位に使う
  • 折転帯:途中で折り返し、太さの変化へ合わせる。下腿や前腕などに使う
  • 8の字帯・亀甲帯:交差させながら関節を包む。関節の屈側へ厚い重なりを集中させない
  • 反復帯:折り返しを繰り返して先端を覆う。頭部や断端などに使う

重ね幅は学習上の目安。包帯の伸縮性、製品表示、固定目的、部位、患者の状態に合わせる。

包帯法の手順

  1. 目的と指示を確認する

    何を覆う・圧迫する・支える・固定するのか、交換時期と観察方法を確認する。

  2. 説明し、安楽な体位を整える

    患部を支え、固定後に必要な関節肢位を保つ。プライバシーと保温にも配慮する。

  3. 皮膚・創と末梢神経血管を観察する

    痛み、感覚、運動、皮膚色、温度、毛細血管再充満、腫脹を基準として記録する。

  4. 被覆材・保護材を置く

    創面を清潔に扱い、骨突出部や皮膚がこすれる場所を必要に応じて保護する。

  5. 包帯を皮膚に沿わせて巻く

    巻軸を患部の近くで転がし、しわ・ねじれ・局所的な締め付けを作らない。各層の緊張と重なりをそろえる。

  6. 安全な場所で固定する

    創、骨突出部、圧が集中する場所を避けて留める。テープや留め具を皮膚へ食い込ませない。

  7. 直後と経過中に再評価する

    巻く前と同じ項目を比べ、ずれ、緩み、浸出、におい、皮膚障害も確認する。

四肢へ巻くとき
  • 支持・圧迫を目的とする場合は、一般に末梢側から中枢側へ均一に進める
  • 指趾など観察に必要な末梢部を可能な範囲で露出する
  • 包帯の端だけで輪状に強く締めず、段差と食い込みを作らない
  • 骨折・脱臼が疑われる部位を無理に動かさず、固定の指示を優先する

巻いた後の観察

包帯の末梢で痛み、感覚、運動、皮膚色、温度、毛細血管再充満、腫脹を確認する図

包帯の外にある指趾から変化をつかむ

  • 痛み:強さ、部位、増え方、他動運動との関係
  • 感覚:しびれ、ピリピリ感、触れた感覚の左右差
  • 運動:指趾を自分で動かせるか
  • 灌流:皮膚色、温度、毛細血管再充満、必要時は脈拍
  • 局所:腫脹、食い込み、ずれ、出血、浸出液、皮膚障害

異常時の考え方

包帯後の異常を見つけたら停止、末梢評価、圧迫解除、連絡、再評価へ進む図
原因を決めつける前に、締め付けを残さず患者と患肢を再評価する。
  1. 実施や活動を止め、患肢を支えて全身状態を確認する
  2. 痛み、感覚、運動、皮膚色、温度、毛細血管再充満、腫脹を再評価する
  3. 院内手順と指示に従い、包帯を緩める・外すなど圧迫を解除する
  4. 医師・担当者へすぐ報告する。外傷後の強い痛みや神経血管変化は緊急評価につなげる
  5. 改善の有無を確認し、時刻、所見、対応、再評価を記録する

報告・記録

  • 実施目的、部位、創・皮膚の状態、使用した被覆材・包帯・固定具
  • 実施前後の痛み、感覚、運動、皮膚色、温度、毛細血管再充満、腫脹
  • 巻き方、固定した肢位、末梢部の露出、患者の訴え
  • 出血・浸出液、ずれ、緩み、食い込み、皮膚障害の有無
  • 患者へ説明した異常徴候、再確認時刻、交換予定、報告と対応

出典