循環器

弁膜症

弁の場所と、狭窄か逆流かを確認する。肺に血液がうっ滞する変化と、全身へ送る血液が不足する変化を分けて追う。

主な症状
息切れ 動悸 失神 浮腫
代表的な薬
利尿薬
検査値UP
BNP
検査値DOWN

検査値は代表的な変化。全例に共通する診断基準ではなく、病期・治療・併存症で変わる。

病型と病態のつながり

大動脈弁狭窄(AS)

大動脈弁が開きにくく、左室に圧負荷がかかる。左室肥大や拡張の障害と労作時の症状につながる。石灰化など → 弁が開きにくい大動脈狭い出口左室:高い圧で駆出圧負荷 → 肥大・広がりにくさ労作時の息切れ・胸痛・失神に注意症状を試すための無理な歩行はしない
  1. 出口が開きにくい
  2. 左室に圧の負荷
  3. 労作時の胸痛・失神・息切れ

観察へ:普段の移動で胸痛・息切れ・ふらつきが増えたかを比較。失神や安静時の呼吸悪化は直ちに共有し、症状確認のために無理な歩行負荷をかけない。

大動脈弁逆流:急性AR

突然の弁破壊・大動脈解離など。大動脈から左室への拡張期逆流。左室が広がる余裕なく圧が急上昇。突然の弁破壊・大動脈解離など大動脈拡張期に逆流左室左室が広がる余裕なく圧が急上昇肺うっ血・低心拍出 → 急な呼吸悪化左室拡大がなくても急変を疑う
  1. 弁破壊・大動脈解離などで急に逆流が起こる
  2. 左室の拡張期圧が急上昇する
  3. 肺うっ血と前方への血流低下が進む

観察へ:急な呼吸苦・血圧低下・意識変化は直ちに共有。左室拡大や慢性例の脈圧の特徴がなくても安心しない。発症時刻、胸背部痛・発熱の有無も伝える。

大動脈弁逆流:慢性AR

逆流による負荷が長く続く。大動脈から左室への拡張期逆流。左室が拡大・肥大して負荷に適応。逆流による負荷が長く続く大動脈拡張期に逆流左室左室が拡大・肥大して負荷に適応やがて機能低下 → 労作時の息切れ症状が乏しくても心エコーを比較
  1. 拡張期の逆流で左室への負荷が続く
  2. 左室の拡大・肥大で一時的に適応する
  3. 機能が低下すると息切れなどが現れる

観察へ:普段の歩行・階段での息切れや疲れやすさを比較。症状の乏しさだけで安定と決めず、心エコーの左室径・機能の推移と受診計画を確認する。

僧帽弁狭窄:リウマチ性

リウマチ性:交連(合わせ目)が癒合。弁口が狭くなり左房から左室への流れが妨げられる。リウマチ性:交連(合わせ目)が癒合左房側から弁口を見る模式図狭い弁口弁口の開きが制限される左房 → 左室への流れが妨げられる左房・肺静脈の圧上昇 → 呼吸苦PTMC:適した形なら癒合部を開く
  1. 左室へ入りにくい
  2. 左房・肺静脈の圧が上昇
  3. 肺うっ血・心房細動

観察へ:頻脈と呼吸苦、脈の乱れ、新しい神経症状を確認。PTMC前は弁の形・逆流・左房内血栓の評価を照合する。

僧帽弁狭窄:変性・石灰化

変性・石灰化:弁輪や弁が硬くなる。弁口が狭くなり左房から左室への流れが妨げられる。変性・石灰化:弁輪や弁が硬くなる左房側から弁口を見る模式図狭い弁口弁口の開きが制限される左房 → 左室への流れが妨げられる左房・肺静脈の圧上昇 → 呼吸苦癒合がなければPTMCは適しにくい
  1. 弁輪・弁の石灰化で開口が制限される
  2. 左房から左室への流れが妨げられる
  3. 肺うっ血・息切れが生じうる

観察へ:症状と心エコーの弁口面積・圧較差を合わせて追う。圧較差は心拍数や血流量でも変わるため、測定時の脈拍・治療条件も共有する。

僧帽弁逆流:一次性MR

弁尖・腱索の障害(逸脱の例)から収縮期の左房への逆流、肺うっ血へ弁尖・腱索の障害(逸脱の例)左房左室(収縮期)逆流腱索:弁を支えるひも肺うっ血 → 呼吸・酸素条件を比較
  1. 弁尖・腱索などの構造が障害される
  2. 収縮期に左房へ逆流する
  3. 肺うっ血・呼吸困難、前方へ送る血流の低下

観察へ:新しい呼吸苦の発症時刻、血圧・意識・酸素条件を確認。急な逆流では左室拡大を待たず重症化しうる。

僧帽弁逆流:二次性MR(左室由来)

左室拡大 → 弁尖が引かれる例から収縮期の左房への逆流、肺うっ血へ左室拡大 → 弁尖が引かれる例左房左室(収縮期)逆流閉じ合わせに隙間が残る肺うっ血 → 呼吸・酸素条件を比較
  1. 心筋障害・左室拡大で弁尖が引かれる
  2. 弁の閉じ合わせが悪くなり逆流する
  3. 心不全と逆流が相互に負担を増やす

観察へ:心不全治療の内容と、治療後に残る息切れ・体重・尿量を比較。心エコーで左室の機能・大きさと逆流の変化を確認する。

僧帽弁逆流:二次性MR(左房由来)

心房細動などに伴う左房・弁輪の拡大で僧帽弁の閉じ合わせが悪くなり、収縮期に逆流する。左室の収縮機能が保たれていても起こりうる。左房・弁輪の拡大が中心の型拡大した左房逆流左室(収縮期)弁輪が広がる → 閉鎖に隙間肺うっ血・息切れにつながる左室の収縮機能が保たれていても起こる
  1. 心房細動などに伴い左房・弁輪が拡大
  2. 弁尖が十分に合わず、収縮期に逆流
  3. 左室の収縮機能が保たれていても肺うっ血が生じうる

観察へ:脈拍・リズム、息切れ、体重・尿量を同じ条件で比較。LVEFだけで安心せず、左房・弁輪・逆流の評価を確認し、心不全と不整脈への治療後も症状を追う。

三尖弁逆流:一次性TR

三尖弁の閉じ合わせが悪く、右室収縮時に右房へ逆流する。全身の静脈うっ血から浮腫や腹部症状につながる。弁尖・弁下組織そのものの障害右房収縮期に逆流右室右房圧上昇 → 全身の静脈うっ血下肢の浮腫・腹部膨満・食欲低下体重・腹囲・尿量・食事量を比較する
  1. 弁尖・弁下組織そのものに障害
  2. 右室の収縮時に右房へ逆流
  3. 静脈うっ血から浮腫・腹部症状

観察へ:弁の障害の原因と発症経過を確認。発熱、心臓への処置歴、急な症状変化を共有し、浮腫・腹囲・尿量・食事量を比較する。

三尖弁逆流:二次性TR

三尖弁の閉じ合わせが悪く、右室収縮時に右房へ逆流する。全身の静脈うっ血から浮腫や腹部症状につながる。右房・右室拡大 → 弁輪拡大・牽引右房収縮期に逆流右室右房圧上昇 → 全身の静脈うっ血下肢の浮腫・腹部膨満・食欲低下体重・腹囲・尿量・食事量を比較する
  1. 右房・右室の拡大で弁輪拡大や弁尖の牽引
  2. 弁の閉じ合わせが悪くなる
  3. 逆流とうっ血が右心の負担を増やす

観察へ:心房細動、左心疾患・肺高血圧などの背景と治療を確認。体液量・脈拍の変化と心エコーの右心機能・逆流を合わせ、治療後の浮腫や腹部症状を追う。

血流と負荷の関係を表す模式図。解剖学的な位置・大きさや診断画像は再現していない。

症状から観察・再確認へ

息切れ

見る・聞く
安静時と普段の動作時の呼吸数、努力呼吸、会話、体位、呼吸音、SpO₂を確認。酸素デバイスと流量も記録。
何を反映するか
肺うっ血や拍出量低下の手がかり。酸素飽和度が保たれていても呼吸仕事量は増える。
普段と比較
移動距離、休憩回数、横になれるかを普段と比較。活動を避けて症状が隠れていないか聞く。
悪化を疑う変化
安静でも苦しい、会話が続かない、酸素条件が増える、意識が変わる。
再確認
活動中止・体位調整後の呼吸、血圧、意識を再確認し反応を共有。

めまい失神

見る・聞く
発症と活動の関係、胸痛、脈拍・心電図、血圧、皮膚冷感、意識の回復を確認。転倒を防ぐ。
何を反映するか
低灌流(臓器へ届く血流不足)や不整脈を疑う。ASでは新しい労作時症状が重要。
普段と比較
同じ動作での症状、降圧薬・利尿薬の変更、摂取量を確認。
悪化を疑う変化
意識が戻らない、胸痛や持続する循環不良を伴う。
再確認
臥床後も呼吸・循環を継続評価。改善しても新規の失神を未報告で終えない。

むくみ

見る・聞く
同条件の体重、下腿・仙骨部の浮腫、腹部膨満、尿量、飲水・点滴量を確認。
何を反映するか
静脈うっ血や体液貯留の可能性。腎機能・栄養状態も関係する。
普段と比較
単日の体重だけでなく連続した推移と利尿薬への反応を比較。
悪化を疑う変化
尿量減少に呼吸苦・冷感・血圧低下が重なる。
再確認
尿量が増えた後も、血圧・口渇・立ちくらみ・腎機能・電解質を確認。

動悸

見る・聞く
脈の速さと規則性、心電図、血圧、胸痛・息切れ・意識を同時に確認。
何を反映するか
頻脈や心房細動は充満と拍出を変化させる。MSでは呼吸症状悪化と関連しうる。
普段と比較
既知の不整脈か新規か、症状の開始、内服・中断の有無を比較。
悪化を疑う変化
動悸とともに失神・胸痛・呼吸悪化・低灌流がある。
再確認
処置後は脈拍数だけでなく、症状と循環が改善したかを見る。

胸痛

見る・聞く
開始時刻、持続、活動との関係、部位・広がりを聞き、血圧・脈拍・心電図、冷汗、呼吸、意識を同時に確認。
何を反映するか
ASの拍出障害や心筋への酸素供給不足が関係しうる。弁膜症だけが原因とは限らない。
普段と比較
普段の症状との違い、より軽い動作で起きたか、安静でも続くかを確認。
悪化を疑う変化
新しく強い痛み、持続・反復する痛み、冷汗・失神・血圧低下・呼吸苦の合併。
再確認
活動中止後も痛みの持続と循環を追い、緊急評価につなぐ。痛みが軽くなっても新規症状は報告する。

発熱悪寒

見る・聞く
体温の推移、悪寒、倦怠感、食事量、呼吸・意識・血圧を確認。人工弁・感染性心内膜炎の既往と抗菌薬使用を聞く。
何を反映するか
弁や人工弁への感染も考慮する。高熱や典型的な心雑音がなくても除外できない。
普段と比較
普段との違い、症状の持続、抗菌薬・解熱薬の前後、新しい呼吸苦や神経症状を比較。
悪化を疑う変化
呼吸苦・循環不良、新たな片麻痺・言葉の異常、意識低下や失神を伴う。
再確認
速やかに共有し、血液培養と心エコー等の評価を相談。解熱しただけで終了せず、呼吸循環と神経所見を追う。

看護判断:変化の緊急度

継続観察

既知の安定期で、普段の活動・呼吸・循環・体重推移が維持され、新しい症状がない。

次の行動:個別計画で経過を追う。無症状でも定期の心エコー・受診予定を確認。

早めに共有

歩行距離が短くなる、夜間の息苦しさ、新規の動悸、浮腫・体重増加、薬変更後のふらつき。 新しい失神は回復していても速やかに評価を求める。 原因が分からない発熱・悪寒が続く場合も早めに共有する。

次の行動:新しい症状は発見時に共有し、普段との差・経過・治療条件を添えて診察と再評価時点を相談する。失神後に回復していても、次の定時観察まで報告を待たない。

直ちに応援要請

急な強い呼吸困難、回復しない意識障害、持続する胸痛と循環不良、新しい片麻痺・言語障害。

次の行動:施設の急変対応を起動。患者のそばで呼吸・循環を評価し、緊急処置を準備する。

緊急度の目安。施設の急変対応基準・個別指示を優先し、数値だけで経過観察を決めない。

看護行動:優先順位

まず安全と状態評価

活動を中止し転倒を防ぐ。応答、気道、呼吸、循環を確認。呼吸苦では呼吸が楽になる体位を探し、血圧・意識悪化がないか同時に見る。

応援と情報を集める

悪化時は一人で抱えず応援要請。心電図・血圧・SpO₂を確認し、酸素条件、発症経過、弁病変、直近の治療を共有。

指示・手順に沿って準備

酸素・静脈路・採血・心エコーなどの準備。薬の追加や輸液量変更は指示を確認し、重症ASを含む病型と循環状態を伝える。

感染を疑うときの採血準備

血液培養の指示・採取条件と抗菌薬の使用時刻を確認。発熱のピークを待たない。敗血症・急性心不全では培養のために治療を遅らせず、採取と治療開始をチームで調整する。

介入後の再評価

呼吸苦・会話・血圧・意識・尿量を介入前と比較。改善しない、新しい異常が出る場合は再報告。安静度を確認して離床を再開。

治療前・中・後の看護

利尿薬

目的
うっ血を軽減する。弁の構造自体を修復する薬ではない。
前に確認
血圧、体液出納、体重、Cr・Na・K、直近投与と反応。
中に観察
尿量と呼吸苦の変化。立ちくらみ、過度の血圧低下、口渇、筋力低下・動悸。
反応・再評価
楽に呼吸できるか、うっ血が減ったかを確認し、腎機能・電解質と併せて再評価。
適応・注意
脱水・低灌流を伴う場合などは処方者へ共有。病型と体液量に応じて調整する。
フロセミドの詳細を開く

抗凝固薬:ワルファリン

目的
機械弁、または中等度以上の僧帽弁狭窄を伴う心房細動などで血栓塞栓を予防。
前に確認
弁の種類・部位、僧帽弁狭窄の程度、適応、PT-INRの個別目標、出血歴・併用薬・服薬状況を確認。
中に観察
血尿・黒色便・皮下出血、新しい頭痛・神経症状、処置予定。
反応・再評価
PT-INR推移と出血・塞栓徴候を継続確認。無症状だけで有効性を判断しない。
適応・注意
機械弁と中等度以上の僧帽弁狭窄を伴う心房細動では、DOACへ置き換えない。休薬・再開・橋渡し療法は処方者と確認する。
ワルファリンカリウムの詳細を開く

抗血栓薬:生体弁・弁形成・TAVI後の計画確認

目的
術後の血栓リスクと、心房細動など別の適応に応じて血栓塞栓を予防する。
前に確認
術式・術後時期、心房細動、冠動脈ステント、出血歴と処方の目的を確認。
中に観察
出血、神経症状、服薬できない状況と処置予定を共有。抗凝固薬と抗血小板薬の重複・中止予定も照合する。
反応・再評価
退院時と外来で、薬の種類・継続期間・検査予定が引き継がれているかを再確認。
適応・注意
機械弁と同じ処方とは限らない。薬の種類で必要な検査が異なり、PT-INRをDOACの効果判定に使わない。

外科的弁形成・弁置換

目的
自己弁を修復する、または人工弁へ置換して血流の障害を改善する。
前に確認
対象の弁、術式、人工弁の種類、抗血栓薬の休薬・再開計画を確認。術前の神経所見、呼吸、腎機能、活動能力を記録する。
中に観察
創部・ドレーン排液の量と性状、血圧・脈拍、呼吸、尿量を推移で見る。出血量の変化と循環悪化をまとめて共有する。
反応・再評価
呼吸苦・末梢循環・尿量の改善、疼痛と深呼吸・離床の可否を再評価。新しい不整脈、神経症状、発熱を見逃さない。
適応・注意
形成か置換かは弁の病変と修復可能性などで異なる。排液管理・離床・抗血栓療法は術式と施設手順に従う。

TAVI(経カテーテル大動脈弁植込み)

目的
主に重症ASで狭い弁の内側へ人工弁を留置し、全身への血流を改善する。
前に確認
アクセス部位、止血方法、術前の脈拍・心電図、末梢循環、神経所見と腎機能を確認。抗血栓薬・安静度の指示をそろえる。
中に観察
穿刺部の出血・腫脹、足の色・冷感・脈拍、血圧を比較。徐脈や新しい伝導障害、片麻痺・言語の変化は直ちに共有する。
反応・再評価
息切れ・活動時症状の改善を確認し、離床前後に血圧・ふらつき・穿刺部を再評価。退院後の失神や新しい動悸も相談するよう伝える。
適応・注意
外科手術との選択は解剖、合併症、予後と希望を含めハートチームで判断。早期離床や退院を全員一律に当てはめない。

PTMC:僧帽弁の狭窄を広げる

目的
癒合した弁の合わせ目をバルーンで開き、左房から左室への流れを改善する。
前に確認
心エコーで弁の形・石灰化・逆流、経食道心エコーで左房内血栓の評価を確認。呼吸・血圧・脈拍と抗血栓薬の計画を共有する。
中に観察
穿刺部の出血・腫れ、呼吸苦、血圧低下、新しい神経症状を観察。急変は直ちに応援を求める。
反応・再評価
呼吸状態と循環を術前と比較し、心エコーで狭窄の改善と逆流の増悪がないかを確認する。
適応・注意
左房内血栓や有意な逆流、強い石灰化などでは適さない。術後の呼吸悪化を単なる安静不足と考えず、逆流増悪などの評価につなぐ。

TEER:僧帽弁の逆流を減らす

目的
カテーテルで弁尖を接合し、左室から左房への逆流を減らす。
前に確認
一次性か、二次性の左室・左房由来かを確認。治療後に残る症状、弁の形、経食道心エコーの実施可否を照合し、適応はハートチームが判断する。
中に観察
麻酔下の呼吸循環、穿刺部の出血を観察。術中の心エコーによる逆流の残存と弁の通過状態の評価を共有する。
反応・再評価
覚醒後の呼吸・循環を術前と比較。穿刺部、離床時の症状、心エコーの結果を確認し、残る心不全症状を引き継ぐ。
適応・注意
弁の形などにより実施できないことがある。処置終了だけで改善と判断せず、呼吸苦の持続・悪化や血圧低下を早く報告する。

T-TEER:三尖弁の逆流を減らす

目的
カテーテルで三尖弁の弁尖を接合し、右室から右房への逆流を軽減する。
前に確認
薬物治療後の症状、右心機能、弁の形と大腿静脈からの経路、外科手術のリスクを照合。経食道心エコーの可否と穿刺・止血計画を確認する。
中に観察
呼吸・循環、穿刺部、心電図を観察。逆流の残存・増悪、弁の通過障害、心嚢液の評価を共有。急な血圧低下・呼吸悪化は出血やタンポナーデ等も考え直ちに報告。
反応・再評価
覚醒後の呼吸・血圧、穿刺部、神経所見を術前と比較。逆流の再増悪ではクリップの把持不良などの評価につなぐ。体重・浮腫・腹部症状・食事量も追う。
適応・注意
重症TRで薬物治療後も症状が残り、外科手術が最適ではない場合などに検討。弁や血管の条件も含めハートチームが判断する。処置後も心不全・不整脈の管理を続ける。

検査の意味と読み方

心エコー

弁の部位・狭窄/逆流、心室機能、肺高血圧の評価。

組み合わせ・推移:単独の測定値や心雑音の強さで重症度を決めない。症状・前回画像と合わせ、悪化時は再評価を相談。 感染性心内膜炎を疑う人工弁例では初回陰性でも除外せず、経食道心エコーや再検の要否を相談。

BNP

心壁への負荷をみる手がかり。上昇は心不全評価に役立つ。

組み合わせ・推移:腎機能や心房細動などでも変化する。弁の重症度を単独で判定せず、体重・呼吸・画像と推移を追う。

BNPの検査詳細

Cr

腎機能の変化を追う。利尿・循環状態の評価にも関係。

組み合わせ・推移:上昇時は尿量、血圧、体液量を合わせる。数値だけで脱水と断定しない。

Crの検査詳細

K

心筋の電気活動に関係。利尿薬などで低下し、腎障害等で上昇する。

組み合わせ・推移:薬剤変更前後の推移と心電図・動悸・筋力を比較。症状がなくても異常値は共有。

Kの検査詳細

PT-INR

ワルファリンの作用を評価。

組み合わせ・推移:高低の解釈は個別目標と比較。弁の種類・併用薬・服薬状況・出血徴候と合わせる。

PT-INRの検査詳細

血液培養

感染性心内膜炎を疑う場合に、原因微生物と薬剤感受性を調べる。

組み合わせ・推移:先行抗菌薬で陰性化することがある。陰性だけで除外せず、症状・心エコーと追加評価を合わせる。

報告:SBARで情報をそろえる

S:いまの変化

  • 新しい呼吸苦・失神・動悸など。
  • 開始からの経過と現在の意識・呼吸・循環。

B:判断に必要な背景

  • 弁の部位と病型、重症度、人工弁・手術歴、心房細動。
  • 酸素・輸液・利尿薬・抗凝固薬の条件。

A:観察と反応

  • 普段と現在の活動、呼吸数・血圧・心電図、体重・尿量、検査推移。
  • 実施した体位調整や処置への反応。

R:確認したいこと

  • 今すぐの診察・心エコー・処置の要否、投薬と安静度の指示、次の再評価時点。
  • 緊急時は情報収集の完了を待たない。

患者・家族への説明

生活の変化を伝える

『息切れはない』だけでなく、歩ける距離や休憩が増えたかを伝える。胸痛・失神・急な強い息苦しさは早急な対応が必要。

薬と受診を続ける

薬は目的と注意する症状を確認。抗凝固薬を自己中断せず、処置・歯科受診時は人工弁と薬を伝える。

感染と回復を支える

口腔衛生を保ち、続く発熱を放置しない。予防抗菌薬は適応を確認する。運動・飲水・塩分は個別計画に合わせる。

参考文献

  1. 日本循環器学会ほか:2020年改訂版 弁膜症治療のガイドライン

    病型と血行動態・評価の基本。治療機器の最新適応は個別確認。

  2. 国立循環器病研究センター:心臓弁膜症

    診断・治療の概要と患者説明。

  3. 国立循環器病研究センター:TAVI

    ASとカテーテル治療の理解。

  4. NHS:Heart valve replacement — complications

    術後に注意する合併症。

  5. NHS:Heart valve replacement — recovery

    人工弁・服薬・活動支援。

  6. ESC作業部会:2025弁膜症ガイドラインの抗血栓療法に関する解説

    機械弁と生体弁・TAVIの抗血栓管理の違い。作業部会の解説であり、国内処方の用量・期間を指定する根拠にはしない。

  7. 日本循環器学会ほか:2026年改訂版 感染性心内膜炎診療ガイドライン

    2026年5月更新。21〜25頁の症状・血液培養・心エコーを確認。発熱時の看護観察と再評価の根拠。

  8. 国内弁膜症ガイドライン2020:公式英語版

    第XIV章1.1の中等度以上MS・機械弁の区別を確認。古いTAVI後の一律併用期間は採用しない。 ARの急性・慢性の病態差と左室拡大を欠く急性例について、1.2・4.2.1・4.2.2の本文を追加照合。 ASの圧負荷と症状、二次性TRの弁輪拡大・閉鎖不全機序も確認。 左房由来MRは第III章5.1〜5.3の機序・評価を確認。治療選択を左室由来MRと同一にしない。 第VII章1.1・1.2で一次性/二次性TRの機序を照合。

  9. 国立循環器病研究センター:僧帽弁閉鎖不全症の治療

    一次性・二次性MR、TEERの仕組みと術前評価。

  10. 日本心臓財団:PTMC

    バルーンで僧帽弁の狭窄を広げる仕組み。

  11. 国立循環器病研究センター:三尖弁逆流症のカテーテル治療

    2026年9月16日に対象・治療の流れを再確認。薬物治療後の症状、外科手術が最適でないとの判断、静脈と弁の条件を治療カードへ反映。回復日数や効果を一律に適用しない。国内最新添付文書の代用にはしない。

  12. FDA:TriClip G4 使用説明書(2024年承認時)

    6頁の合併症を補助資料として確認。国内の最新適応・機器操作手順の代用にはしない。

資料確認:2026年9月15日。看護観察・報告は資料の病態とリスクを基に学習用へ整理したもの。施設の手順・個別指示に合わせて使う。

看護学習用の概念図。実際の形・大きさ・診断所見を再現した図ではない。

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