検査値は代表的な変化。全例に共通する診断基準ではなく、病期・治療・併存症で変わる。
病型と病態のつながり
筋肉・関節:動かさないことで動きにくくなる
- 臥床・不活動で筋肉への負荷と関節の動きが減る
- 筋力・持久力が低下し、関節が動かしにくくなる
- 移乗・更衣・歩行が難しい → 活動がさらに減る
観察へ:筋力だけでなく、痛み、関節が動く範囲、介助量、動作後の疲労を比べる。本人ができる部分を日常ケアでも使う。
起立時の循環:姿勢変化に追いつかない
- 臥床が続き、起き上がる機会が減る
- 起立時の血液分布の変化に循環調節が追いつかないことがある
- 立ちくらみ・ふらつき → 転倒リスクと離床への不安
観察へ:姿勢を変えた時点と症状・血圧・脈を結ぶ。脱水、出血、降圧薬、自律神経障害など別の原因も確認する。
筋肉・関節と起立時の循環は、重なりうる機能低下の側面。廃用の病型分類ではない。重症疾患による神経・筋障害、栄養不足、薬の影響が併存する場合もある。
症状から観察・再確認へ
筋力低下・移動困難
- 見る・聞く
- 寝返り、起き上がり、座位保持、立ち上がり、移乗で必要な介助を確認。左右差、痛み、補助具も記録する。
- 何を反映するか
- 不活動による筋力・持久力低下の可能性。筋力低下の原因は廃用だけではない。
- 普段と比較
- 病前と前日の動作、同じ補助具・介助条件での達成度を比較。
- 悪化を疑う変化
- 急な片側の脱力、言葉の変化、急に座位を保てない、呼吸筋の弱りを疑う変化。
- 再確認
- 新しい神経症状は直ちに報告。活動後も疲労・疼痛と介助量を確認し、次の負荷を調整する。
立ちくらみ・ふらつき
- 見る・聞く
- 臥位から座位・立位への変化時に症状、顔色、意識、血圧・脈を確認。支持と転倒予防を準備して行う。
- 何を反映するか
- 起立に伴う血圧低下などの可能性。数値が測れるまで無理に立たせない。
- 普段と比較
- 症状が出た姿勢・時間、安静時値、食事・補液・薬の変更を比較。
- 悪化を疑う変化
- 失神、胸痛、強い息切れ、冷汗、休んでも回復しない意識や循環の異常。
- 再確認
- 活動を止め安全に座る・臥床する。呼吸状態に配慮して体位を選び、回復と血圧・脈を再評価する。
関節の動かしにくさ
- 見る・聞く
- 自力で動く範囲と痛み、腫れ、皮膚状態、清潔・更衣への支障を確認。無理な他動運動はしない。
- 何を反映するか
- 拘縮(関節が動きにくくなる状態)や疼痛の可能性。骨折・炎症などとの区別が必要。
- 普段と比較
- 前回の可動域、姿勢、同じ動作での痛みと介助量を比較。
- 悪化を疑う変化
- 新しい強い痛み、発赤・腫れ、片脚の急な腫脹、運動に伴う神経症状。
- 再確認
- 動作を中止して評価を依頼。ポジショニング後に疼痛、圧迫、皮膚と末梢循環を確認する。
生活機能低下・疲れやすさ
- 見る・聞く
- 食事、更衣、排泄、洗面をどこまで自分でできるか確認。呼吸数、会話、休憩の必要性、睡眠・気分も見る。
- 何を反映するか
- 身体機能と意欲・環境が相互に影響する。できない原因を意欲不足だけにしない。
- 普段と比較
- 病前の生活習慣と、介助すればできること、準備だけでできることを分ける。
- 悪化を疑う変化
- 少しの動作で強い呼吸困難、急な注意・意識の変化、食事・飲水の大幅な低下。
- 再確認
- 休憩後の回復と食事摂取を確認。補助具・環境・栄養計画を見直し、小さな生活目標を共有する。
看護判断:変化の緊急度
経過を観察
個別の活動範囲内で動作でき、呼吸循環が安定し、休憩で疲労が回復する。
次の行動:できた動作と必要介助、実施量と回復を記録。同じ条件で推移を追い、次の目標をチームで決める。
早めに共有・報告
前より介助が増える、起立時症状を繰り返す、痛み・摂取不足・眠気が活動を妨げる。
次の行動:負荷を進めず、原疾患・薬・栄養・環境を再評価。医師とリハビリ職へ条件と変化を伝える。
直ちに応援要請
失神、胸痛、強い呼吸困難、循環不安定、急な片麻痺や言語障害。
次の行動:活動を中止して転倒を防ぎ、応援を要請。気道・呼吸・循環と発症時刻を確認し、施設の急変手順に従う。廃用による疲労として待たない。
緊急度の目安。施設の急変対応基準・個別指示を優先し、数値だけで経過観察を決めない。
看護行動:優先順位
1|開始条件をそろえる
安静度・荷重制限・術後の禁忌、覚醒、痛み、呼吸循環を確認。酸素・点滴・ドレーンを安全に動かせる人員と物品を準備する。
2|段階ごとに反応を見る
許可された範囲でベッド上運動、座位、立位、移乗へ進める。各段階の症状・脈・血圧・呼吸を確かめ、達成を急がない。
3|生活動作を練習の機会にする
洗面、食具を持つ、更衣など、できる部分を本人に任せる。見守り・一部介助・全介助を区別して申し送る。
4|動けない間の二次障害を防ぐ
体位・除圧、皮膚、関節の位置、排泄、口腔の状態を確認。片脚の腫れは揉まず評価へつなぐ。血栓予防は適応と禁忌を確認する。
5|実施後まで評価する
終了直後と休憩後の痛み・疲労・呼吸循環を確認。食事や翌日の活動に支障が残る場合は、量・頻度・休憩を見直す。
治療前・中・後の看護
段階的な離床・運動療法
- 目的
- 筋力・持久力と姿勢保持を回復し、生活動作を広げる。
- 前に確認
- 原疾患の安定性、活動指示、荷重・関節の制限、開始・中止条件を共有。
- 中に観察
- 呼吸循環、疲労、痛み、ふらつき、ライン牽引を観察。異常時は中断して再評価。
- 反応・再評価
- 距離だけでなく介助量、動作の質、回復時間と生活での使用を評価する。
- 適応・注意
- 強度を上げればよいとは限らない。重症患者の推奨を全患者へ一律適用しない。
関節運動・ポジショニング
- 目的
- 動かせる範囲を保ち、清潔・更衣・座位を行いやすくする。
- 前に確認
- 痛み、骨折・術後の制限、関節・皮膚状態を確認。
- 中に観察
- 痛みのない許可範囲で実施し、抵抗に逆らって押し込まない。支持具の圧迫を確認。
- 反応・再評価
- 可動域だけでなく、ケアのしやすさ・疼痛・皮膚状態を再確認する。
- 適応・注意
- 拘縮の原因に応じて理学療法士・作業療法士と方法を選ぶ。
栄養支援と活動の調整
- 目的
- 活動に必要な栄養を確保し、筋肉・生活機能の回復を支える。
- 前に確認
- 実摂取量、体重変化、嚥下、腎機能、再栄養リスクを確認。
- 中に観察
- 食事前に疲れ切らない配分を相談。実摂取と運動後の疲労、消化器症状を追う。
- 反応・再評価
- 摂取量・筋力・動作を合わせて評価。体重増加だけで回復とはしない。
- 適応・注意
- エネルギー・蛋白量は病態で異なる。管理栄養士と個別に調整する。
活動を妨げる原因の治療・薬の見直し
- 目的
- 痛み、貧血、脱水、眠気、起立時症状などへの対応で活動を可能にする。
- 前に確認
- 症状と投薬時刻の関係、鎮静薬・降圧薬など、出納と検査値を確認。
- 中に観察
- 処方変更や鎮痛後の意識、血圧、呼吸、疼痛を観察する。
- 反応・再評価
- 症状軽減に加え、安全に行える動作が増えたかを見る。
- 適応・注意
- 廃用自体の特効薬ではない。処方・補液の変更は医師の判断で行い、一律に飲水や塩分を増やさない。
検査の意味と読み方
生活動作・筋力・関節可動域
介助量と動作能力を同じ条件で経時評価する。必要に応じ標準化された尺度を用いる。
組み合わせ・推移:痛み、認知・理解、補助具によって成績は変わる。筋力の値だけで生活の自立を決めない。
体位変化時の血圧・脈拍
起立による循環変化を症状と合わせて評価する。
組み合わせ・推移:体位・測定時刻・薬の条件を記録。立位が危険なら測定を強行しない。
Hb
貧血が疲れやすさ・息切れに関与していないか評価する。
組み合わせ・推移:低下の速度、出血、呼吸循環と照合する。廃用を診断する検査ではない。
Hbの検査詳細
K
脱力に電解質異常が関わっていないか評価する。
組み合わせ・推移:腎機能・薬・摂取や排泄と推移を確認。急な脱力を活動不足だけにしない。
Kの検査詳細
CRP
感染・炎症など活動低下の背景を評価する補助。
組み合わせ・推移:症状・原疾患の経過と合わせる。正常でも廃用は否定できず、高値だけで運動可否を決めない。
CRPの検査詳細
報告:SBARで情報をそろえる
S|活動中の変化
- どの動作のどの段階で何が起きたか。
- 発症時刻と現在の意識・呼吸・循環。
B|普段と活動条件
- 病前の生活、直近の介助量、臥床期間、安静度・荷重制限、酸素・点滴・薬の条件。
A|前後の比較
- 活動前・症状時・休憩後の値、実施した活動量と看護、回復の有無。
R|必要な評価
- 急変の診察、活動の中止・再開条件、薬・補液の見直し、リハビリ・栄養評価を依頼。
患者・家族への説明
できることを一緒に決める
寝返りや洗面など、今の状態で安全にできる小さな目標を相談する。できないことを努力不足と考えなくてよい。
症状を我慢しない
立ちくらみ、胸痛、息苦しさ、いつもと違う痛みはその場で知らせる。初回の立ち上がりは決められた介助で行う。
退院後につなげる
家の段差、トイレ、食事準備に必要な動作を確認し、補助具・家族の介助・継続リハビリを退院前に調整する。
看護学習用の概念図。実際の形・大きさ・診断所見を再現した図ではない。
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