排泄援助技術更新・文献確認:2026年9月17日

ストマ(ストーマ)ケア

  • 便・尿の出口を観察し、装具の適合と皮膚を守る。
  • 排泄量と全身状態をつなぎ、本人が安心して暮らせるケアを考える。
学習用
実際のケアで優先する条件・指示・手順
  • 術式
  • 術後経過
  • 医療チームの指示
  • 施設の手順
  • 使用製品の説明書
  • 実際のケアでは、上記の条件・指示・手順を優先する。

ストマの種類とケアの目的

  • ストマ(ストーマ)は、手術で腹壁に作られた便や尿の出口。
  • このページで扱うストマ
    • 結腸ストマ
    • 回腸ストマ
    • 尿路ストマ:回腸導管
    • 尿路ストマ:尿管皮膚瘻
  • 気管孔や胃瘻の管理とは異なる。
結腸から腹壁のストマへ便が進む経路
結腸ストマ(コロストミー)
  • 大腸から便を排出する。
  • 便の硬さは造設部位・食事・病状で異なる。
  • 観察する項目
    • 便
    • ガス
    • 便秘
    • 下痢
    • 漏れ
    • 皮膚の変化
小腸末端の回腸から腹壁のストマへ便が進む経路
回腸ストマ(イレオストミー)
  • 小腸から便を排出する。
  • 水分を多く含む便が出やすい。
  • 消化液による皮膚障害と、水分・電解質喪失に注意する。
左右の腎臓から尿管、分離した回腸導管を通ってストマへ尿が進む経路
尿路ストマ:回腸導管
  • 腸の一部を尿の通路に用いる。
  • 尿は膀胱を経由せず、導管から装具へ流れる。
左右の尿管を直接腹壁へ開口した尿路ストマの一例
尿路ストマ:尿管皮膚瘻
  • 尿管を皮膚へ直接開口する。
  • 先に確認すること
    • 術式
    • 開口部の数
    • ステントの有無
  • 図は正面から見た排泄経路の模式図。
  • 臓器の縮尺や造設位置を一律に示すものではなく、残存する腸管・開口部の数は術式で異なる。

交換前の観察と確認

ストマの観察
  • 色
  • 湿潤
  • 縦の大きさ
  • 横の大きさ
  • 高さ
  • 排出口の位置
  • 浮腫
  • 出血
  • 陥没
  • 脱出
  • 粘膜と皮膚の接合部
周囲皮膚の観察
  • 発赤
  • びらん
  • 湿潤
  • 発疹
  • 痛み
  • かゆみ
  • しわ
  • くぼみ
  • 腹壁の変化
  • 仰臥位だけでなく座位などでも確認する。
排泄物の観察
  • 量
  • 性状
  • 色
  • 血液
  • 排出の変化
回腸ストマで追加する評価
  • 水分出納
  • 尿量
  • 体重
  • 口渇
  • めまい
装具の確認
  • 前回交換日
  • 使用期間
  • 面板裏側の溶解
  • 便の潜り込み
  • 尿の潜り込み
  • 漏れの方向
  • 袋の重さ
  • 排出口の状態
  • 接合部の状態
本人と支援体制の確認
  • 生活上の希望
  • 視力
  • 手指機能
  • 姿勢
  • 理解
  • 疲労
  • 支援者
  • 装具の入手
  • 費用
  • できることと援助が必要なことを分ける。
  • 術後は浮腫が軽減してストマの大きさが変わる。
  • 以前の型紙だけに頼らず、変化に合わせて測り直す。
  • 術直後の色や排出量は、術式・経過と合わせて評価する。

装具の選択と準備

  • 単品系:面板と袋が一体。
  • 二品系:面板と袋が別々。
  • 便用装具の種類
    • 閉鎖型
    • 排出口付き
  • 尿用装具の機構の例
    • 排尿口
    • 逆流防止機構
  • 便用・尿用を同じ手順で扱わない。
交換に使う物品
  • 本人に適した装具
  • ストマ計測用具
  • 型紙
  • はさみ(必要時)
  • ぬるま湯
  • 柔らかいガーゼ等
  • 乾燥用の布
  • 廃棄袋
  • 計量容器
  • 手袋
  • エプロン等の防護具
  • 寝具保護シート
必要性を評価する補助剤
  • 剥離剤
  • 皮膚保護リング
  • ペースト
  • パウダー
面板・リング・ベルトを選ぶ視点
  • ストマの高さ
  • しわ
  • 漏れ
  • 圧迫リスク
  • 凸面の追加や締め付けを自己判断で強めず、皮膚・排泄ケア認定看護師やストマ外来に相談する。
  • 安定したストマの日常ケアでは標準予防策を基本とする。
  • 別に確認する処置
    • 術後創
    • 離開
    • ステント等
    清潔・無菌操作の区分と術後指示を確認する。
  • 製品の使用方法を優先する。

装具交換の手順

  1. 説明し、環境と本人の参加を整える
    • 交換理由を説明し、準備物をそろえる。
    • 手指衛生と必要な防護具を使用する。
    環境の確認
    • プライバシー
    • 照明
    • 姿勢
  2. 袋を空にして、面板をゆっくり外す
    • 必要な排泄量を測定する。
    • 片手で皮膚を支え、面板を急に引き剥がさない。
    • 剥離剤を使う場合は製品の指示に従う。
  3. 面板裏側・ストマ・皮膚を観察する
    交換時の確認
    • 漏れが始まった場所
    • 面板の溶け方
    • 皮膚障害の位置
    • 異常があれば交換を繰り返すだけにせず、原因を評価する。
  4. やさしく洗い、十分に乾かす
    • ぬるま湯と柔らかい布で汚れを落とす。
    • 石けんを用いる場合は刺激や残留成分に注意し、十分にすすぐ。
    • こすらず押さえて乾かす。
  5. 計測し、開口部を合わせる
    • ストマの形と大きさに合わせる。
    • 粘膜を締め付けず、皮膚の露出をできるだけ少なくする。
    • 穴の余裕を一律のmmで決めず、製品とストマの状態に合わせる。
  6. 必要な補助剤を使い、装着する
    • 補助剤は目的を明確にし、必要な範囲に用いる。
    • 乾いた皮膚へしわなく貼り、製品指示に沿って手で押さえる。
    • 二品系は接合が確実か確認する。
  7. 閉鎖・排液・安楽を確認する
    • 袋の排出口を閉じる。
    • 尿用の夜間排液では接続と尿の流れも確認する。
    • 終了後に行うこと
      • 廃棄
      • 手指衛生
      • 記録
    装着後の確認
    • 圧迫
    • 牽引
    • 漏れ
面板の穴がストマに沿うと皮膚が保護され、広すぎると便や尿が露出した皮膚に触れる模式図
  • 狭すぎて粘膜を圧迫しない。
  • 広すぎて皮膚を露出させない。
  • 大きさだけでなく、下記も評価する。適合評価で合わせて見る項目
    • 高さ
    • しわ
    • 排出口の向き

漏れと周囲皮膚障害への対応

  • 周囲皮膚の障害を「ストマがあるから仕方ない」と扱わない。
  • 周囲皮膚障害の主な原因
    • 漏れによる刺激
    • 粘着剤による剥離・損傷
    • 接触皮膚炎
    • 感染
    原因によって対応は異なる。

漏れ・灼熱感・かゆみがあるとき

  • 予定の交換日を待たず、装具を外して皮膚と面板裏側を確認する。
  • 漏れをテープで覆い足すだけでは、皮膚への接触が続く。

湿潤・びらんがあるとき

  • 装具の適合を見直し、必要な局所ケアを相談する。
  • パウダーは適応部位に薄く用い、余分を除く。
  • 正常な皮膚に毎回一律で使用しない。
接着不良の確認
  • 水分
  • 石けんの残留
  • 油性クリーム
  • 補助剤の過量
  • しわ
  • 排泄物の潜り込み

交換間隔と袋の管理

  • 漏れる前に交換できる安定した使用期間を本人ごとに設定する。
  • 頻回交換による皮膚損傷と、長すぎる使用による漏れの両方を避ける。
  • 袋が重くなる前に排泄物を捨てる。
  • 量の目安と排出口の清掃・閉鎖は製品や本人の生活に合わせる。
日常ケアとして追加しないこと
  • 毎回の消毒薬塗布
  • 強くこする
  • 装具の下への油性軟膏の広範囲塗布

回腸ストマ:排泄量と脱水

  • 排出量の増加は水分・ナトリウムなどの喪失につながる。
水分・電解質喪失の評価
  • 24時間の排出量
  • 摂取量
  • 尿量
  • 体重
  • 血圧
  • 脈拍
  • 口渇
  • 倦怠感
  • めまい
  • 腎機能
  • 電解質
高排出量ストマは「量」だけでは決めない
  • 高排出量ストマでは、しばしば1日1.5〜2Lを超える排出がみられる。
  • 問題になる量は、摂取量と水分・電解質の損失によって異なる。
  • 閾値未満でも尿量低下や脱水徴候があれば報告する。
急な排出量増加で評価する原因
  • 感染
  • 閉塞の前後
  • 薬剤
  • 「水をできるだけ多く飲む」で一律に対応しない。
  • 医療チームの個別計画に従う項目
    • 飲水の種類
    • 飲水量
    • 経口補水
    • 輸液
    • 薬剤
  • 自己判断で飲水制限や薬剤の増減を行わない。

尿路ストマで追加する確認

尿と全身状態の観察
  • 尿量
  • 色
  • 血尿
  • 排出の連続性
  • 発熱
  • 悪寒
  • 側腹部痛
  • 混濁やにおいだけで感染と断定しない。
  • 回腸導管では腸粘膜からの粘液が尿に混じることがある。
  • 粘液と合わせて評価する項目
    • 尿量低下
    • 閉塞
    • 血液
    • 全身症状

夜間バッグを使うとき

  • バッグをストマより低い位置に置く。
  • 接続後に尿が流れることを確認する。
夜間バッグの安全確認
  • 床への接触を避ける
  • チューブの屈曲を防ぐ
  • チューブの圧迫を防ぐ
  • 牽引を防ぐ
ステントの確認
  • 種類
  • 留置目的
  • 固定
  • 抜去予定
ステントで自己判断しない操作
  • 抜く
  • 切る
  • 押し戻す
  • 洗浄する

培養などの採尿

  • 施設の手順と医療者の指示に従う。
  • 使用中の袋や夜間バッグ内に長時間たまった尿を、そのまま培養検体にしない。

すぐに報告する変化

血流障害が疑われる色
  • 新たな暗紫色
  • 灰色
  • 褐色
  • 黒色
  • 著しい色の変化
直ちに報告する出血
  • 持続する出血
  • 大量出血
  • 袋内にたまる血液
  • 循環の変化
  • 洗浄時の少量の接触出血と区別する。
閉塞が疑われる症状
  • 排出の停止
  • 排出の急減
  • 腹痛
  • 膨満
  • 悪心
  • 嘔吐
  • 排出の停止・急減に腹部症状が伴う場合は、決まった時間を待たず評価する。
脱水・全身状態悪化のサイン
  • 尿量の明らかな低下
  • 強い口渇
  • 立ちくらみ
  • 頻脈
  • 血圧低下
  • 意識の変化
尿路の異常
  • 尿が流れない
  • 発熱
  • 悪寒
  • 側腹部痛
  • 血尿の増加
早めに相談する局所の変化
  • 新しい陥没
  • 新しい脱出
  • ストマ周囲の膨隆
  • 接合部の離開
  • 広がる皮膚障害
  • 疼痛や色の変化を伴う脱出・膨隆は緊急評価が必要。
自己判断で行わない操作
  • ストマを押し戻す
  • 器具を挿入する
  • 洗腸する

本人のセルフケアと暮らしを支える

気持ちと希望を確かめる

  • 本人が見る・触れることへの気持ちを確認し、受け入れを急がせない。
  • 生活上の不安や希望に応じた相談先を整える。
相談できる生活上の課題
  • ボディイメージ
  • 漏れへの不安
  • においへの不安
  • 睡眠
  • 外出
  • 仕事
  • 性生活

段階的に練習する

セルフケアの練習項目
  • 物品準備
  • 排泄物の処理
  • 装具交換
  • 皮膚観察
  • 説明を聞くだけでなく、本人の操作と説明で理解を確かめる。
  • 視力や手指機能に合わせた装具・補助具を選び、必要な部分だけ支援する。
  • 家族の参加は本人の意向を確認する。

食事と水分を相談する

  • 食事は術後段階と排出の変化に合わせる。
  • 一律に食品を禁止しない。食事・水分で相談する項目
    • よく噛むこと
    • 便との関係
    • ガスとの関係
    • 個別の水分計画

退院後の備えを整える

一緒に確認する備え
  • 外出用の交換物品
  • オストメイト対応トイレ
  • 装具の注文先
  • ストマ外来の連絡先
  • 災害時の備え
  • 装具費の助成や身体障害者手帳等は、ストマの状況と自治体の制度で異なる。
  • 医療ソーシャルワーカーや自治体窓口へつなぐ。

記録と引き継ぎ

手術と留置物
  • 術式
  • 造設日
  • ストマの位置
  • ストマの数
  • ステント等の有無
ストマと皮膚
  • 色
  • 縦の大きさ
  • 横の大きさ
  • 高さ
  • 形
  • 排出口
  • 接合部
  • 皮膚の状態
  • 症状
  • 皮膚障害は時計方向・広さなどで位置を共有する。
排出と全身状態
  • 排出量
  • 測定時間
  • 便の性状
  • 尿の性状
  • 摂取量
  • 尿量
  • 体重
  • 関連する検査値
  • 全身症状
装具と交換後の評価
  • 装具名
  • 装具の型
  • 開口部
  • 補助剤
  • 交換日時
  • 面板裏側の状態
  • 漏れの位置
  • 装着後の評価
セルフケアと対応
  • 本人の実施範囲
  • 理解
  • 不安
  • 支援内容
  • 異常の報告先
  • 対応
  • 再評価
  • 次回の計画

出典

文献確認:2026年9月17日。装具の選択・使用方法は製品の説明書、術後経過と個別のケア計画に合わせる。