症状・生体機能管理技術更新・文献確認:2026年9月30日

直達牽引(骨牽引)

  • 骨へ刺入したピンや鋼線を介して、牽引力を直接伝える。
  • 装置と末梢神経血管に加え、ピン刺入部の感染・出血・ゆるみをみる。
学習用・非診断用
  • 牽引の適応、方向、重量、肢位、刺入部処置、観察間隔は個別指示で異なる。
  • 実施判断や看護記録の代わりにはならない。
  • 医師の指示、使用器材、院内手順を優先する。

直達牽引と介達牽引の違い

重錘からロープ、牽引弓、骨を貫くピンへ力が直接伝わる直達牽引の図

直達牽引は骨へ直接力を伝える

  • 力の経路:重錘 → ロープ → 牽引弓 → ピン・鋼線 → 骨
  • 重点観察:装置、刺入部、末梢神経血管、長期臥床の影響
  • 介達牽引:皮膚へ装着した牽引具から軟部組織を介して力を伝える
  • 骨折部の整復・安静や手術までの一時的な安定化などに用いられる。
  • 刺入位置、牽引方向、期間は病態と治療計画で異なる。

開始時に基準をそろえる

  • 指示:部位、方向、重量、肢位、安静度、刺入部処置、観察間隔、移動方法
  • 患者:本人確認、説明、痛み、鎮痛効果、理解、不安
  • 患肢:左右の皮膚色・温度・腫脹、感覚、運動、毛細血管再充満、必要時の末梢脈拍
  • 刺入部:出血、排液、発赤、腫脹、熱感、疼痛、皮膚への張力、ドレッシング
  • 装置:ピン・牽引弓、ロープ、滑車、重錘、支持具、対抗牽引

牽引装置を一本の線でたどる

  1. 患者と患肢の位置
    • 身体がずれず、指示された肢位と牽引方向が保たれているか。
    • 踵や骨突出部が圧迫されていないか。
  2. ピンと牽引弓
    • ピン・鋼線のゆるみ、変形、位置変化がないか。
    • 牽引弓が周囲へ接触せず、器材の構造どおり保たれているか。
    • 皮膚がピンに引かれて強く張っていないか。
  3. ロープと滑車
    • ロープが滑車の溝にあり、寝具・ベッド柵・物品へ触れていないか。
    • 結び目が滑車へ当たらず、力の方向がずれていないか。
  4. 重錘
    • 指示された重さか。
    • 床、ベッド、壁に触れず自由に下がっているか。
  5. 確認後の患者
    • 痛みと末梢神経血管所見を再確認する。
    • 装置の変化と症状の時間関係を記録する。
ピンと牽引力を自己判断で操作しない
  • 重錘を外す、足す、持ち上げ続ける操作をしない。
  • ピン・鋼線・牽引弓を回す、締める、位置を変える操作をしない。
  • 移乗や検査で変更が必要な場合は、整形外科チームと方法・人数を先に確認する。

ピン刺入部を観察する

  • 局所:発赤の範囲、熱感、腫脹、圧痛、自発痛、出血、排液の量・色・におい
  • 固定:ドレッシングの湿潤・汚染、皮膚への張力、ピン・鋼線・牽引弓の変化
  • 全身:体温、悪寒、倦怠感、食欲、炎症反応など指示された検査
  • 経過:前回からの広がり、痛みの増加、排液の変化、荷重や動作との関係

末梢神経血管を観察する

  • 痛み:部位、強さ、増え方、鎮痛薬への反応、他動運動での増悪
  • 感覚:しびれ、ピリピリ感、感覚低下、健側との差
  • 運動:足趾・足関節など指示範囲の自動運動、動かしにくさ
  • 循環:皮膚色、温度、毛細血管再充満、腫脹、必要時の末梢脈拍
  • 患肢全体:緊満、変形、肢位、出血、皮膚障害、支持具による圧迫

長期臥床の影響を減らす

  • 皮膚:踵、仙骨、肩甲部などを観察し、牽引を崩さない除圧方法を選ぶ。
  • 呼吸:呼吸状態を観察し、許可範囲で深呼吸・排痰・体位調整を支援する。
  • 循環:静脈血栓塞栓症のリスク、下肢腫脹、胸痛、呼吸困難をみる。
  • 運動:許可範囲の健側・上肢運動、等尺性運動、関節運動を支援する。
  • 生活:食事・水分、排泄、睡眠、清潔、せん妄、不安、セルフケアを整える。
  • 理学療法、血栓予防、離床範囲は個別の治療計画に従う。
  • 牽引を守ることと、動かさないことは同じではない。

すぐ共有する変化

  • 急に強くなる痛み、鎮痛しても軽減しない痛み
  • 他動運動で増悪する痛み、緊満した腫脹
  • 新しいしびれ、感覚低下、運動低下
  • 蒼白、チアノーゼ、冷感、毛細血管再充満の遅れ、末梢脈拍の変化
  • 刺入部の広がる発赤、熱感、腫脹、膿性排液、悪臭、増悪する疼痛
  • 発熱・悪寒・全身倦怠感など感染を疑う変化
  • 刺入部出血の増加、ピン・鋼線・牽引弓のゆるみや変形
  • 装置の外れ、ロープの脱落、重錘の接地、患者の大きなずれ
  • 呼吸困難、胸痛、意識変化などの全身急変

報告・記録

  • 牽引の種類、刺入部位、方向、重量、肢位、装着・確認時刻
  • 患者の位置、ピン・牽引弓、ロープ、滑車、重錘の状態
  • 痛み、感覚、運動、皮膚色、温度、毛細血管再充満、腫脹、末梢脈拍
  • 刺入部の発赤・熱感・腫脹・疼痛・出血・排液、処置内容
  • 全身状態、皮膚・呼吸・循環・排泄・活動、行った予防ケア
  • 異常所見、報告先、指示、対応、対応後の変化

出典