清潔・衣生活援助技術 更新・文献確認:2026年7月26日

洗髪

自力で洗髪できない成人へのベッド上洗髪を中心に、準備、体位、洗い方、すすぎ、乾燥を整理した学習ノート。

学習用。実際の援助では、患者の安静度、治療上の制限、使用器具の取扱説明書、院内手順、指導者の指示を優先する。

注意事項

実施前
  • 安静度と洗髪の可否を確認
  • 意識、呼吸、循環、発熱、疲労、疼痛を確認
  • 頸部の屈曲・伸展制限、頭頸部の創傷・手術、頭蓋内圧への配慮を確認
  • 点滴、酸素、ドレーン、モニター、創部を確認
  • 頭皮の創傷、発赤、湿疹、感染、出血、医療用接着剤などを確認
  • 患者が行える動作は本人に任せる
実施中・実施後
  • 頸部を過伸展させない
  • 呼吸苦、めまい、悪心、冷汗、顔色不良、疼痛があれば中止
  • 湯温は患者と実施者の双方で確認
  • 湯や洗浄剤が眼・耳・気道へ入らないようにする
  • シャンプーが残らないようにすすぐ
  • 寝衣、寝具、医療機器を濡らさない
  • 頭皮と毛髪を十分に乾かし、冷えを防ぐ

目的

  • 頭皮と毛髪の汚れ、汗、皮脂を除去
  • 掻痒感、不快感、においを軽減
  • 頭皮と毛髪の状態を観察
  • 爽快感と整容を支援
  • 患者の生活習慣と希望を尊重

観察項目

  • 意識、呼吸、脈拍、顔色、発汗
  • めまい、悪心、倦怠感、疼痛、寒さ
  • 頭皮の発赤、湿疹、傷、出血、腫脹、圧痛
  • 掻痒感、落屑、皮脂、におい、汚れ
  • 脱毛、切れ毛、毛髪の絡まり
  • 頸部痛、可動域、体位による苦痛
  • 点滴・ドレーン・酸素機器などの位置と作動
  • 洗髪後の爽快感、疲労、冷え

必要物品

  • 洗髪槽またはケリーパッド
  • 排水用ホース
  • 排水用バケツ
  • 防水シート
  • バスタオル
  • フェイスタオル
  • 洗髪用ボトルまたはピッチャー
  • 湯を入れる容器
  • シャンプー
  • 必要時、コンディショナー
  • 眼・耳を保護するガーゼまたはタオル
  • 手袋
  • くしまたはブラシ
  • ドライヤー
  • ごみ袋

洗髪槽、排水ホース、洗浄剤は使用製品の取扱説明書を確認。感染対策が必要な場合は個人防護具と物品の処理方法を追加する。

ベッド上洗髪の手順

  1. 患者と実施条件を確認

    洗髪の可否、安静度、体位、頭皮、医療機器を確認。患者へ流れを説明する。

  2. 環境と物品を整える

    室温、プライバシー、ベッドの高さを調整。排水用バケツを安定した低い位置へ置く。

  3. 毛髪を整える

    毛髪の絡まりを毛先からほどく。整髪料、義髪、留め具などを確認する。

  4. 体位を整える

    仰臥位を基本に、頭部をベッドの端へ寄せる。必要に応じて膝を軽く曲げ、頸部と腰部の緊張を減らす。

  5. 防水と排水経路を準備

    肩から頭部の下へ防水シートとタオルを敷く。洗髪槽を置き、排水ホースをバケツへ確実に入れる。

  6. 湯温を確認

    患者の好みと皮膚状態を確認。少量の湯をかけて温度と体調を再確認する。

  7. 毛髪を濡らす

    眼と耳を保護。生え際から後頭部へ少量ずつ湯を流し、顔側への流入を防ぐ。

  8. 洗う

    シャンプーを泡立て、指腹で頭皮を洗う。爪を立てず、創傷や発赤部へ強い刺激を加えない。

  9. すすぐ

    生え際、耳の後ろ、後頭部を確認しながら十分にすすぐ。洗浄剤の残りと排水状態を確認する。

  10. 洗髪槽を外す

    毛髪の水分をタオルで押さえる。排水をこぼさないように洗髪槽と防水シートを外す。

  11. 乾燥・整容

    タオルで頭皮と毛髪の水分を取る。ドライヤーは温度と距離に注意し、頭皮まで乾かす。毛髪を整える。

  12. 体位・環境を戻す

    寝衣、寝具、医療機器を確認。安楽な体位へ戻し、ベッド周囲を整える。

  13. 観察・記録

    実施方法、頭皮・毛髪の状態、患者の反応、異常、実施後の疲労を記録する。

ベッド上洗髪の体位と排水経路 患者を仰臥位にして膝を軽く曲げ、頸部を支え、頭部の下に洗髪槽を置き、排水ホースをベッドより低いバケツへ入れる模式図 体位と排水 洗髪槽 頸部を支える 膝を軽く曲げる バケツは低く
体位と排水経路 頸部を過伸展させず、排水ホースの屈曲・抜け・逆流を防ぐ。
洗髪時に湯を流す方向 眼と耳を保護し、生え際から後頭部の洗髪槽へ向けて湯を流す模式図 湯を流す方向 生え際から後頭部へ 眼を保護 耳を保護 洗髪槽へ流す
顔側へ流さない 少量ずつ流し、眼・耳への流入と患者の呼吸状態を確認する。

関連知識

方法を選ぶ視点

シャワー・洗面台
離床でき、座位・立位を安全に保てる場合。患者の自立動作を活かす。
ベッド上洗髪
離床できないが、仰臥位と頸部の位置を安全に保てる場合。
洗髪車・移動式機器
専用機器を使用できる場合。取扱説明書と院内の洗浄・消毒手順を確認。
ドライシャンプー等
全身状態や治療上の制限で湯を使う洗髪が難しい場合。頭皮状態と製品表示を確認。

安楽を保つポイント

  • 体位による呼吸苦、頸部痛、腰痛をこまめに確認
  • 必要に応じて膝を軽く曲げ、下肢と腰部を支える
  • 長時間同じ体位にしない
  • 湯温、洗い方、香りなどの希望を確認
  • 露出を少なくし、冷えを防ぐ
  • 疲労が強い場合は工程を短縮または中止

頭皮を観察する視点

  • 発赤、腫脹、傷、出血、圧痛
  • 湿疹、落屑、痂皮、びらん
  • 皮脂、乾燥、におい、掻痒感
  • 脱毛、切れ毛、毛髪の絡まり
  • 医療用接着剤、電極跡、圧迫部位
  • 異常がある部位は強くこすらず、共有・記録

出典