清潔・衣生活援助技術更新・文献確認:2026年8月28日

手浴・足浴

ただ湯に浸ける援助ではない。浸ける前に手足を見て、洗い、もう一度見て、趾間・指間まで乾かす学習ノート。

学習用。患者の全身状態、疾患、安静度、創傷、医療機器、使用製品の表示、院内手順を優先する。

注意事項

浸ける前に方法を変える条件を探す
  • 糖尿病、末梢神経障害、末梢循環障害がある
  • 痛み・しびれ・冷感が強い、温度を感じにくい
  • 発赤、熱感、腫脹、水疱、亀裂、出血、潰瘍、感染徴候がある
  • 手術部位、創傷、ドレッシング、点滴・動脈ラインがある
  • 安静度、荷重、関節運動、患肢挙上に制限がある
中止して状態を確認する変化
  • 呼吸苦、胸部症状、めまい、悪心、冷汗、顔色不良
  • 新しい痛み、しびれ、灼熱感、皮膚色の変化
  • 出血、皮膚剥離、創部やドレッシングの濡れ
  • 医療機器の抜去、閉塞、アラーム
  • 本人が続行を望まない

目的

手浴・足浴を、浸ける前の観察、洗浄、乾燥、浸けた後の再観察で示した図
前後の変化を比べるため、観察は湯に浸ける前から始める。
  • 手や足の汗、皮脂、汚れを落とす
  • 清潔を保ち、不快感を減らす
  • 皮膚、爪、循環、感覚、動かしにくさを観察する
  • 温かさや爽快感を得られるよう援助する
  • 残っているセルフケア能力を生かす

「血流を必ず改善する」「浮腫を治す」とは決めつけない。感じ方と反応を見て、目的に合う方法を選ぶ。

実施前の観察

手と足の指間、爪、皮膚色、腫れ、創傷を左右で観察する図

左右を比べ、指の間まで見る

  • 皮膚色、温度、乾燥、湿潤、発赤、傷、水疱、胼胝
  • 腫脹・浮腫、左右差、圧迫痕
  • 痛み、かゆみ、しびれ、感覚低下
  • 指・足趾の動き、拘縮、巧緻動作、荷重の可否
  • 爪の長さ、厚さ、変形、陥入、爪周囲の炎症
  • 本人が洗える範囲と必要な介助

糖尿病がある足では、小さな傷でも見逃さない。見えにくい足底や踵は鏡を使うか、体位を調整して確認する。

必要物品

湯を入れる容器、防水シート、洗浄用具、乾燥用タオル、使用後物品の置き場所を分けた図
清潔な物品、使用後の物品、こぼれた湯を拭く物品の場所を先に決める。
  • 手または足が無理なく入る容器
  • 患者に合う温度の湯
  • 温度計
  • 施設採用の洗浄剤
  • 洗浄用タオルまたは柔らかいスポンジ
  • 乾燥用タオル
  • バスタオルまたは掛け物
  • 防水シート
  • 非滅菌手袋
  • エプロン
  • 飛散リスクに応じたマスク・眼の防護具
  • 使用後リネンを入れる袋
  • 廃棄物袋
  • こぼれた湯を拭く物品
  • 必要時、保湿剤
  • 必要時、体位保持用クッション

容器の種類、タオルの枚数、湯量、湯温は一律にしない。患者の状態、実施場所、施設の物品に合わせる。

共通の準備

  1. 本人確認、説明、体調と希望を確認する図
    説明し、体調と希望を確認

    本人確認、目的、部位、体位、中止の合図を共有。普段の手入れ、湯温、洗浄剤の希望も聞く。

  2. 安定した姿勢を整え、防水シートと容器を置く図
    転倒と濡れを防ぐ

    室温とプライバシーを整える。安定した姿勢にし、防水シートを敷く。容器は傾かない場所へ置く。

  3. 湯温を温度計で確認し、手足の皮膚を観察する図
    湯温と手足を確認

    手指衛生と必要なPPEを行う。湯温を測り、本人にも確認。浸ける前の皮膚、創傷、医療機器を観察する。

手浴の手順

  1. 前腕と手首を支え、点滴部位や指輪を確認する図
    装飾品と医療機器を確認

    指輪などは本人と管理方法を決める。点滴刺入部、動脈ライン、創傷、ドレッシングは湯へ浸けない。前腕と手首を支える。

  2. 手掌、手背、指間、爪周囲をやさしく洗う図
    片手ずつ、やさしく洗う

    手を無理なく湯へ入れる。手掌、手背、指、指間、爪周囲を洗う。拘縮した指を強く開かない。

  3. 手を持ち上げ、指間を押さえて乾かす図
    すすぎ、水分を残さない

    洗浄剤が残らないようにする。こすらず押さえて乾かし、指間、手掌のしわ、爪周囲を再観察する。

足浴の手順

  1. 座位またはベッド上で脚を支え、足浴容器を安定させる図
    安全な体位と容器の位置を決める

    座位では足底を移す動作と立ち上がりを見守る。ベッド上では膝や踵を支え、容器の縁で皮膚を圧迫しない。

  2. 足背、足底、踵、足趾間をやさしく洗う図
    片足ずつ、短時間で洗う

    足背、足底、踵、足趾、趾間をやさしく洗う。長時間の浸漬や強い摩擦を避け、反応を確認する。

  3. 足を容器から上げ、足趾間を押さえて乾かし再観察する図
    趾間まで乾かし、再観察

    片足ずつ持ち上げて水分を押さえる。足底、踵、趾間、爪周囲の変化を見てから、滑らないよう履物を戻す。

皮膚保護と爪の扱い

足の皮膚には保湿剤を薄く塗り、足趾間には塗らないことを示す図

乾燥部と湿りやすい部位を分ける

  • 水分はこすらず、押さえて取る
  • 乾燥した皮膚は、状態と製品表示に合わせて保湿する
  • 足趾間には保湿剤を塗らない
  • ふやけ、亀裂、発赤、浸出液があれば報告する
  • 終了後は履物内の異物や湿りも確認する
爪切りは足浴の必須手順ではない
  • 本人の希望、爪と皮膚の状態、実施者の役割、院内手順を確認する
  • 深爪や爪の角の切り込みを避ける
  • 厚い爪、変形、陥入爪、爪周囲炎は無理に切らない
  • 糖尿病、循環障害、感覚低下、抗凝固療法中などは、専門的な評価が必要か確認する

方法を変える場面

  • 糖尿病・感覚低下:熱さを感じにくい可能性を考え、湯温を客観的に確認。傷、色、熱感、腫脹を前後で比べる
  • 循環障害が疑われる:冷感、蒼白・暗赤色、安静時痛、創傷があれば、浸漬前に報告して方法を確認する
  • 創傷・感染徴候:通常の容器へ浸けず、創部の指示とドレッシング管理を優先する
  • 点滴・動脈ライン:刺入部と固定を濡らさず、屈曲・牽引・閉塞を避ける
  • 浮腫・脆弱な皮膚:容器の縁、タオル、手指による圧迫と摩擦を減らす
  • 拘縮・麻痺・疼痛:無理に指や関節を開かず、支持と体位を調整する

報告・記録

すぐに報告する変化

  • 新しい傷、水疱、出血、皮膚剥離、消えない発赤
  • 強い冷感、色調変化、熱感、腫脹、疼痛、しびれ
  • 膿、悪臭、浸出液、爪周囲の炎症
  • 点滴・ライン・ドレッシングの異常
  • 全身状態の悪化、本人が訴える新しい症状

記録すること

  • 実施部位、方法、体位、使用した洗浄剤・保湿剤
  • 実施前後の皮膚、爪、腫脹、感覚、疼痛
  • 本人が行えた動作と必要な介助
  • 実施中・実施後の反応
  • 報告内容と、その後の対応

出典