注意事項
浸ける前に方法を変える条件を探す
- 糖尿病、末梢神経障害、末梢循環障害がある
- 痛み・しびれ・冷感が強い、温度を感じにくい
- 発赤、熱感、腫脹、水疱、亀裂、出血、潰瘍、感染徴候がある
- 手術部位、創傷、ドレッシング、点滴・動脈ラインがある
- 安静度、荷重、関節運動、患肢挙上に制限がある
中止して状態を確認する変化
- 呼吸苦、胸部症状、めまい、悪心、冷汗、顔色不良
- 新しい痛み、しびれ、灼熱感、皮膚色の変化
- 出血、皮膚剥離、創部やドレッシングの濡れ
- 医療機器の抜去、閉塞、アラーム
- 本人が続行を望まない
目的
- 手や足の汗、皮脂、汚れを落とす
- 清潔を保ち、不快感を減らす
- 皮膚、爪、循環、感覚、動かしにくさを観察する
- 温かさや爽快感を得られるよう援助する
- 残っているセルフケア能力を生かす
「血流を必ず改善する」「浮腫を治す」とは決めつけない。感じ方と反応を見て、目的に合う方法を選ぶ。
実施前の観察
左右を比べ、指の間まで見る
- 皮膚色、温度、乾燥、湿潤、発赤、傷、水疱、胼胝
- 腫脹・浮腫、左右差、圧迫痕
- 痛み、かゆみ、しびれ、感覚低下
- 指・足趾の動き、拘縮、巧緻動作、荷重の可否
- 爪の長さ、厚さ、変形、陥入、爪周囲の炎症
- 本人が洗える範囲と必要な介助
糖尿病がある足では、小さな傷でも見逃さない。見えにくい足底や踵は鏡を使うか、体位を調整して確認する。
必要物品
- 手または足が無理なく入る容器
- 患者に合う温度の湯
- 温度計
- 施設採用の洗浄剤
- 洗浄用タオルまたは柔らかいスポンジ
- 乾燥用タオル
- バスタオルまたは掛け物
- 防水シート
- 非滅菌手袋
- エプロン
- 飛散リスクに応じたマスク・眼の防護具
- 使用後リネンを入れる袋
- 廃棄物袋
- こぼれた湯を拭く物品
- 必要時、保湿剤
- 必要時、体位保持用クッション
容器の種類、タオルの枚数、湯量、湯温は一律にしない。患者の状態、実施場所、施設の物品に合わせる。
共通の準備
- 説明し、体調と希望を確認
本人確認、目的、部位、体位、中止の合図を共有。普段の手入れ、湯温、洗浄剤の希望も聞く。
- 転倒と濡れを防ぐ
室温とプライバシーを整える。安定した姿勢にし、防水シートを敷く。容器は傾かない場所へ置く。
- 湯温と手足を確認
手指衛生と必要なPPEを行う。湯温を測り、本人にも確認。浸ける前の皮膚、創傷、医療機器を観察する。
手浴の手順
- 装飾品と医療機器を確認
指輪などは本人と管理方法を決める。点滴刺入部、動脈ライン、創傷、ドレッシングは湯へ浸けない。前腕と手首を支える。
- 片手ずつ、やさしく洗う
手を無理なく湯へ入れる。手掌、手背、指、指間、爪周囲を洗う。拘縮した指を強く開かない。
- すすぎ、水分を残さない
洗浄剤が残らないようにする。こすらず押さえて乾かし、指間、手掌のしわ、爪周囲を再観察する。
足浴の手順
- 安全な体位と容器の位置を決める
座位では足底を移す動作と立ち上がりを見守る。ベッド上では膝や踵を支え、容器の縁で皮膚を圧迫しない。
- 片足ずつ、短時間で洗う
足背、足底、踵、足趾、趾間をやさしく洗う。長時間の浸漬や強い摩擦を避け、反応を確認する。
- 趾間まで乾かし、再観察
片足ずつ持ち上げて水分を押さえる。足底、踵、趾間、爪周囲の変化を見てから、滑らないよう履物を戻す。
皮膚保護と爪の扱い
乾燥部と湿りやすい部位を分ける
- 水分はこすらず、押さえて取る
- 乾燥した皮膚は、状態と製品表示に合わせて保湿する
- 足趾間には保湿剤を塗らない
- ふやけ、亀裂、発赤、浸出液があれば報告する
- 終了後は履物内の異物や湿りも確認する
爪切りは足浴の必須手順ではない
- 本人の希望、爪と皮膚の状態、実施者の役割、院内手順を確認する
- 深爪や爪の角の切り込みを避ける
- 厚い爪、変形、陥入爪、爪周囲炎は無理に切らない
- 糖尿病、循環障害、感覚低下、抗凝固療法中などは、専門的な評価が必要か確認する
方法を変える場面
- 糖尿病・感覚低下:熱さを感じにくい可能性を考え、湯温を客観的に確認。傷、色、熱感、腫脹を前後で比べる
- 循環障害が疑われる:冷感、蒼白・暗赤色、安静時痛、創傷があれば、浸漬前に報告して方法を確認する
- 創傷・感染徴候:通常の容器へ浸けず、創部の指示とドレッシング管理を優先する
- 点滴・動脈ライン:刺入部と固定を濡らさず、屈曲・牽引・閉塞を避ける
- 浮腫・脆弱な皮膚:容器の縁、タオル、手指による圧迫と摩擦を減らす
- 拘縮・麻痺・疼痛:無理に指や関節を開かず、支持と体位を調整する
報告・記録
すぐに報告する変化
- 新しい傷、水疱、出血、皮膚剥離、消えない発赤
- 強い冷感、色調変化、熱感、腫脹、疼痛、しびれ
- 膿、悪臭、浸出液、爪周囲の炎症
- 点滴・ライン・ドレッシングの異常
- 全身状態の悪化、本人が訴える新しい症状
記録すること
- 実施部位、方法、体位、使用した洗浄剤・保湿剤
- 実施前後の皮膚、爪、腫脹、感覚、疼痛
- 本人が行えた動作と必要な介助
- 実施中・実施後の反応
- 報告内容と、その後の対応