検査値は代表的な変化。全例に共通する診断基準ではなく、病期・治療・併存症で変わる。
病型と病態のつながり
普段:症状がなくても続く気道炎症
- アレルゲンなどの刺激と気道の炎症
- 気道が過敏になり狭くなりやすい
- 変動する咳・喘鳴・夜間症状 → 炎症を抑える治療
観察へ:夜間覚醒、活動制限、発作治療薬の使用回数と吸入手技を確認。症状のない日だけで管理良好と決めない。
増悪:空気を吐き出しにくくなる
- 感染・刺激・治療の中断など
- 気管支収縮・粘膜浮腫・粘液で気道が狭くなる
- 呼気が妨げられ呼吸負担増大 → 疲労・換気不全
観察へ:喘鳴が弱くなっても、空気の入り・会話・意識が悪化していれば危険。呼吸音の減弱を改善と取り違えない。
気道断面の模式図。慢性炎症と急性の狭窄を分けたもので、診断画像や重症度の尺度ではない。好酸球性などの炎症の特徴、併存症、薬への反応で追加治療は異なる。
症状から観察・再確認へ
息苦しさ・喘鳴
- 見る・聞く
- 発症時刻、呼吸数、呼気の延長、肩や首を使う呼吸、会話、横になれるか、左右の呼吸音、SpO₂と酸素条件を確認。
- 何を反映するか
- 気道の狭窄と呼吸の負担を反映。SpO₂だけでは換気や呼吸疲労を評価できない。
- 普段と比較
- 普段の動作と会話、直前の呼吸状態、吸入前後を同じ条件で比較。
- 悪化を疑う変化
- 言葉が続かない、空気の入りが弱い、呼吸努力が強いのに喘鳴が減る、酸素化が悪化する。
- 再確認
- 吸入の完了だけで終えず、呼吸数・会話・空気の入り・酸素条件・脈拍を再確認。改善が乏しければすぐ共有。
不穏・傾眠・疲労
- 見る・聞く
- 受け答え、覚醒、姿勢保持、呼吸運動の強さ、脈拍・血圧・皮膚色を確認。
- 何を反映するか
- 低酸素や換気不全、呼吸筋疲労などの可能性。眠っただけと決めつけない。
- 普段と比較
- 普段の意識と直前の会話、呼吸努力が弱くなった理由を確認。
- 悪化を疑う変化
- 意識低下、チアノーゼ、呼吸の減弱、循環不良。
- 再確認
- 直ちに応援要請。気道・呼吸循環を継続評価し、指示に沿い換気補助・挿管物品を準備する。
咳・痰・夜間覚醒
- 見る・聞く
- 咳の時間帯、痰の性状、発熱、睡眠、誘因、喫煙・受動喫煙、仕事や季節との関係を聞く。
- 何を反映するか
- 気道炎症や誘因の手がかり。痰の色だけで細菌感染と決めない。
- 普段と比較
- 症状の頻度、発作治療薬の使用、普段の睡眠・活動を比較。
- 悪化を疑う変化
- 夜間症状や薬の使用が増える、効く時間が短くなる、発熱や胸痛を伴う。
- 再確認
- 吸入手技・残量・継続の難しさと併存症を確認。自己増量の継続で受診が遅れないよう計画を共有。
吸入後の動悸・振戦
- 見る・聞く
- 薬剤名・時刻・使用回数、脈拍・リズム、振戦、胸痛、脱力を確認。
- 何を反映するか
- β₂刺激薬の作用や低Kなどの可能性。呼吸苦による頻脈との区別も必要。
- 普段と比較
- 吸入前の脈拍と症状、重複使用・追加投与を確認。
- 悪化を疑う変化
- 強い動悸、胸痛、不整脈、循環不良、吸入しても呼吸が悪化する。
- 再確認
- 追加投与の可否を報告・確認。必要時は心電図とKを評価し、呼吸改善も同時に追う。
看護判断:変化の緊急度
計画に沿った経過観察
日常活動と睡眠が保たれ、症状・薬の使用が増えず、治療計画がある。
次の行動:症状記録、吸入手技と残量、行動計画を確認し定期的に管理状態を評価。
早めの共有・治療見直し
夜間覚醒や発作治療薬の使用増加、活動制限、吸入の効果が短い。
次の行動:使用薬・手技・誘因を共有して診療につなぐ。現在の発作が改善しなければ緊急度を上げる。
直ちに応援・緊急対応
会話困難、意識変化、空気の入りが極めて弱い、疲弊、チアノーゼ・循環不良。
次の行動:ABC確認と応援要請。酸素・発作治療・モニターを指示と手順に沿って進め、気道確保を準備。
緊急度の目安。施設の急変対応基準・個別指示を優先し、数値だけで経過観察を決めない。
看護行動:優先順位
1.呼吸の負担と意識を先に確認
楽な座位などを支え、無理な歩行・仰臥位を避ける。意識低下時は気道と誤嚥防止を優先する。
2.治療と評価を並行
SpO₂・脈拍、重症時は心電図・血圧を確認。酸素・吸入・全身ステロイド等を指示どおり準備し、投与時刻を記録。
3.測定のために治療を遅らせない
可能ならPEFを測り普段と比較。強い呼吸困難では無理に吹かせず、採血・画像の要否を確認する。
4.反応と再燃を追う
吸入後も会話・呼吸努力・意識を再確認。改善不十分なら共有。重い発作を鎮静薬で落ち着かせようとしない。
治療前・中・後の看護
短時間作用性β₂刺激薬(SABA)
- 目的
- 収縮した気管支を広げて呼気の通りを改善する。
- 前に確認
- 処方された製剤・器具、直近の使用回数、脈拍、吸入できる状態かを確認。
- 中に観察
- 吸入手技、呼吸・会話・脈拍、振戦・動悸・胸痛を確認。重症ではK・心電図も評価。
- 反応・再評価
- 空気の入りと息苦しさが改善し持続するか。効かない、すぐ再燃する場合は治療を再評価。
- 適応・注意
- 発作時の代表薬。定期的な抗炎症治療を代替しない。追加回数を独自に増やさない。
メプチンエアー10μg吸入100回の詳細を開く吸入ステロイド(ICS)を含む長期管理
- 目的
- 気道炎症を抑え、症状と増悪を減らす。
- 前に確認
- 処方内容、吸入器の種類、手技、残量・継続状況、口腔内を確認。
- 中に観察
- 噴霧と吸入の合わせ方、吸入後のうがい・口すすぎ、声がれ・口腔カンジダを確認。
- 反応・再評価
- 夜間症状、活動制限、発作治療薬の使用と増悪が減るか追う。増量前に手技と継続状況を確認。
- 適応・注意
- リンク先のICS/LABA配合剤は長期管理用で急性発作用ではない。一部の別製剤を維持と発作時に使う方法は、適応と個別の処方計画に従う。
フルティフォーム50・125エアゾールの詳細を開く全身性ステロイド
- 目的
- 増悪時の気道炎症を抑え、回復と再燃予防を支える。
- 前に確認
- 投与経路、既往、感染・血糖、直近のステロイド使用と処方期間を確認。
- 中に観察
- 呼吸の経過、血糖・血圧、感染徴候、消化器症状、不眠・気分変化を確認。
- 反応・再評価
- 呼吸状態の改善と副作用を追い、終了・継続計画を確認。即時の気管支拡張薬とは作用が異なる。
- 適応・注意
- 重症度、経口摂取の可否などで選択。既存の長期内服を自己判断で中止しない。
酸素投与・呼吸管理
- 目的
- 低酸素を補い、呼吸不全時は換気を支える。
- 前に確認
- 酸素条件、意識、呼吸努力、酸素化と気道確保の必要性を確認。
- 中に観察
- 指示された目標に合わせSpO₂・意識・呼吸数を追い、必要時に血液ガス。
- 反応・再評価
- 酸素化だけでなく換気と疲労が改善するか評価。悪化時は気道確保を含む上位管理へつなぐ。
- 適応・注意
- 数値改善だけで呼吸疲労を見逃さない。喘息発作のNPPVは一律に適用せず、挿管が必要な状態の対応を遅らせない。
検査の意味と読み方
PEF・呼吸機能
息を吐く速さと気流制限を評価。
組み合わせ・推移:普段の値や予測値、吸入前後と比較。努力・手技に左右され、重症時は測定より治療を優先。
PaO₂
酸素化の評価。
組み合わせ・推移:低値は酸素化障害の手がかり。酸素投与条件とSpO₂・呼吸状態を合わせる。
PaO₂の検査詳細
PaCO₂・pH
換気と酸塩基を評価。
組み合わせ・推移:強い発作でPaCO₂が上がる場合は換気不全を疑う。正常化も呼吸疲労に伴う変化の可能性があり、意識・努力呼吸と前回値を合わせる。
PaCO₂・pHの検査詳細
K
β₂刺激薬などの安全性を評価。
組み合わせ・推移:低下は不整脈や脱力のリスク。薬の追加回数、心電図、腎機能と組み合わせる。
Kの検査詳細
好酸球・FeNO
好酸球性炎症などの特徴を評価。
組み合わせ・推移:高値は治療選択の手がかりだが単独で診断しない。ICSや全身ステロイドで変化する。
Eosの検査詳細
報告:SBARで情報をそろえる
S:変化
- 発症時刻と悪化速度、会話・意識・呼吸の負担、現在の脈拍・血圧。
B:背景
- 過去の重症発作・挿管、誘因、普段の吸入薬、直近の追加吸入と酸素条件。
A:比較と反応
- 前回からの呼吸数・空気の入り・SpO₂・PEFの変化、吸入と体位調整後の反応。
R:必要な対応
- 治療追加と再評価時点、血液ガス・気道確保や上位管理の要否。
患者・家族への説明
発作時の計画を手元に
普段の薬、発作時に使う薬、連絡・受診のタイミングを書面で確認する。効かないときに使い続けて受診を遅らせない。
実際に吸って確認
器具ごとに吸い方が異なる。説明を聞くだけでなく実演してもらい、残量や困る点を一緒に確認。
症状がない日の治療
調子がよくても自己判断で予防薬を中断しない。運動は一律に禁止せず、管理状態と行動計画に合わせる。
看護学習用の概念図。実際の形・大きさ・診断所見を再現した図ではない。
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