呼吸器

気管支喘息

喘鳴の音量だけで判断せず、会話・呼吸の負担・意識と吸入後の反応を追う。発作時の対応と、発作を防ぐ長期管理を分けて確認する。主に成人の学習用。

主な症状
喘鳴 呼吸困難 夜間の症状
代表的な薬
ICSを含む吸入治療 気管支拡張薬
検査値UP
好酸球 PaCO₂
検査値DOWN
PaO₂

検査値は代表的な変化。全例に共通する診断基準ではなく、病期・治療・併存症で変わる。

病型と病態のつながり

普段:症状がなくても続く気道炎症

気道の炎症が続き刺激に敏感になる気道の炎症が続き刺激に敏感になる通り道比較用の気道断面粘膜に炎症症状がない間も炎症の治療を続ける夜間症状・活動・発作治療薬の使用を追う
  1. アレルゲンなどの刺激と気道の炎症
  2. 気道が過敏になり狭くなりやすい
  3. 変動する咳・喘鳴・夜間症状 → 炎症を抑える治療

観察へ:夜間覚醒、活動制限、発作治療薬の使用回数と吸入手技を確認。症状のない日だけで管理良好と決めない。

増悪:空気を吐き出しにくくなる

筋肉の収縮・粘膜の腫れ・粘液筋肉の収縮・粘膜の腫れ・粘液通り道比較用の気道断面狭い・粘液がたまる吐き出しにくい → 空気が残り呼吸の負担↑呼吸疲労 → 換気低下・意識の変化を評価
  1. 感染・刺激・治療の中断など
  2. 気管支収縮・粘膜浮腫・粘液で気道が狭くなる
  3. 呼気が妨げられ呼吸負担増大 → 疲労・換気不全

観察へ:喘鳴が弱くなっても、空気の入り・会話・意識が悪化していれば危険。呼吸音の減弱を改善と取り違えない。

気道断面の模式図。慢性炎症と急性の狭窄を分けたもので、診断画像や重症度の尺度ではない。好酸球性などの炎症の特徴、併存症、薬への反応で追加治療は異なる。

症状から観察・再確認へ

息苦しさ喘鳴

見る・聞く
発症時刻、呼吸数、呼気の延長、肩や首を使う呼吸、会話、横になれるか、左右の呼吸音、SpO₂と酸素条件を確認。
何を反映するか
気道の狭窄と呼吸の負担を反映。SpO₂だけでは換気や呼吸疲労を評価できない。
普段と比較
普段の動作と会話、直前の呼吸状態、吸入前後を同じ条件で比較。
悪化を疑う変化
言葉が続かない、空気の入りが弱い、呼吸努力が強いのに喘鳴が減る、酸素化が悪化する。
再確認
吸入の完了だけで終えず、呼吸数・会話・空気の入り・酸素条件・脈拍を再確認。改善が乏しければすぐ共有。

不穏傾眠疲労

見る・聞く
受け答え、覚醒、姿勢保持、呼吸運動の強さ、脈拍・血圧・皮膚色を確認。
何を反映するか
低酸素や換気不全、呼吸筋疲労などの可能性。眠っただけと決めつけない。
普段と比較
普段の意識と直前の会話、呼吸努力が弱くなった理由を確認。
悪化を疑う変化
意識低下、チアノーゼ、呼吸の減弱、循環不良。
再確認
直ちに応援要請。気道・呼吸循環を継続評価し、指示に沿い換気補助・挿管物品を準備する。

夜間覚醒

見る・聞く
咳の時間帯、痰の性状、発熱、睡眠、誘因、喫煙・受動喫煙、仕事や季節との関係を聞く。
何を反映するか
気道炎症や誘因の手がかり。痰の色だけで細菌感染と決めない。
普段と比較
症状の頻度、発作治療薬の使用、普段の睡眠・活動を比較。
悪化を疑う変化
夜間症状や薬の使用が増える、効く時間が短くなる、発熱や胸痛を伴う。
再確認
吸入手技・残量・継続の難しさと併存症を確認。自己増量の継続で受診が遅れないよう計画を共有。

吸入後の動悸振戦

見る・聞く
薬剤名・時刻・使用回数、脈拍・リズム、振戦、胸痛、脱力を確認。
何を反映するか
β₂刺激薬の作用や低Kなどの可能性。呼吸苦による頻脈との区別も必要。
普段と比較
吸入前の脈拍と症状、重複使用・追加投与を確認。
悪化を疑う変化
強い動悸、胸痛、不整脈、循環不良、吸入しても呼吸が悪化する。
再確認
追加投与の可否を報告・確認。必要時は心電図とKを評価し、呼吸改善も同時に追う。

看護判断:変化の緊急度

計画に沿った経過観察

日常活動と睡眠が保たれ、症状・薬の使用が増えず、治療計画がある。

次の行動:症状記録、吸入手技と残量、行動計画を確認し定期的に管理状態を評価。

早めの共有・治療見直し

夜間覚醒や発作治療薬の使用増加、活動制限、吸入の効果が短い。

次の行動:使用薬・手技・誘因を共有して診療につなぐ。現在の発作が改善しなければ緊急度を上げる。

直ちに応援・緊急対応

会話困難、意識変化、空気の入りが極めて弱い、疲弊、チアノーゼ・循環不良。

次の行動:ABC確認と応援要請。酸素・発作治療・モニターを指示と手順に沿って進め、気道確保を準備。

緊急度の目安。施設の急変対応基準・個別指示を優先し、数値だけで経過観察を決めない。

看護行動:優先順位

1.呼吸の負担と意識を先に確認

楽な座位などを支え、無理な歩行・仰臥位を避ける。意識低下時は気道と誤嚥防止を優先する。

2.治療と評価を並行

SpO₂・脈拍、重症時は心電図・血圧を確認。酸素・吸入・全身ステロイド等を指示どおり準備し、投与時刻を記録。

3.測定のために治療を遅らせない

可能ならPEFを測り普段と比較。強い呼吸困難では無理に吹かせず、採血・画像の要否を確認する。

4.反応と再燃を追う

吸入後も会話・呼吸努力・意識を再確認。改善不十分なら共有。重い発作を鎮静薬で落ち着かせようとしない。

治療前・中・後の看護

短時間作用性β₂刺激薬(SABA)

目的
収縮した気管支を広げて呼気の通りを改善する。
前に確認
処方された製剤・器具、直近の使用回数、脈拍、吸入できる状態かを確認。
中に観察
吸入手技、呼吸・会話・脈拍、振戦・動悸・胸痛を確認。重症ではK・心電図も評価。
反応・再評価
空気の入りと息苦しさが改善し持続するか。効かない、すぐ再燃する場合は治療を再評価。
適応・注意
発作時の代表薬。定期的な抗炎症治療を代替しない。追加回数を独自に増やさない。
メプチンエアー10μg吸入100回の詳細を開く

吸入ステロイド(ICS)を含む長期管理

目的
気道炎症を抑え、症状と増悪を減らす。
前に確認
処方内容、吸入器の種類、手技、残量・継続状況、口腔内を確認。
中に観察
噴霧と吸入の合わせ方、吸入後のうがい・口すすぎ、声がれ・口腔カンジダを確認。
反応・再評価
夜間症状、活動制限、発作治療薬の使用と増悪が減るか追う。増量前に手技と継続状況を確認。
適応・注意
リンク先のICS/LABA配合剤は長期管理用で急性発作用ではない。一部の別製剤を維持と発作時に使う方法は、適応と個別の処方計画に従う。
フルティフォーム50・125エアゾールの詳細を開く

全身性ステロイド

目的
増悪時の気道炎症を抑え、回復と再燃予防を支える。
前に確認
投与経路、既往、感染・血糖、直近のステロイド使用と処方期間を確認。
中に観察
呼吸の経過、血糖・血圧、感染徴候、消化器症状、不眠・気分変化を確認。
反応・再評価
呼吸状態の改善と副作用を追い、終了・継続計画を確認。即時の気管支拡張薬とは作用が異なる。
適応・注意
重症度、経口摂取の可否などで選択。既存の長期内服を自己判断で中止しない。

酸素投与・呼吸管理

目的
低酸素を補い、呼吸不全時は換気を支える。
前に確認
酸素条件、意識、呼吸努力、酸素化と気道確保の必要性を確認。
中に観察
指示された目標に合わせSpO₂・意識・呼吸数を追い、必要時に血液ガス。
反応・再評価
酸素化だけでなく換気と疲労が改善するか評価。悪化時は気道確保を含む上位管理へつなぐ。
適応・注意
数値改善だけで呼吸疲労を見逃さない。喘息発作のNPPVは一律に適用せず、挿管が必要な状態の対応を遅らせない。

検査の意味と読み方

PEF呼吸機能

息を吐く速さと気流制限を評価。

組み合わせ・推移:普段の値や予測値、吸入前後と比較。努力・手技に左右され、重症時は測定より治療を優先。

PaO₂

酸素化の評価。

組み合わせ・推移:低値は酸素化障害の手がかり。酸素投与条件とSpO₂・呼吸状態を合わせる。

PaO₂の検査詳細

PaCO₂pH

換気と酸塩基を評価。

組み合わせ・推移:強い発作でPaCO₂が上がる場合は換気不全を疑う。正常化も呼吸疲労に伴う変化の可能性があり、意識・努力呼吸と前回値を合わせる。

PaCO₂・pHの検査詳細

K

β₂刺激薬などの安全性を評価。

組み合わせ・推移:低下は不整脈や脱力のリスク。薬の追加回数、心電図、腎機能と組み合わせる。

Kの検査詳細

好酸球FeNO

好酸球性炎症などの特徴を評価。

組み合わせ・推移:高値は治療選択の手がかりだが単独で診断しない。ICSや全身ステロイドで変化する。

Eosの検査詳細

報告:SBARで情報をそろえる

S:変化

  • 発症時刻と悪化速度、会話・意識・呼吸の負担、現在の脈拍・血圧。

B:背景

  • 過去の重症発作・挿管、誘因、普段の吸入薬、直近の追加吸入と酸素条件。

A:比較と反応

  • 前回からの呼吸数・空気の入り・SpO₂・PEFの変化、吸入と体位調整後の反応。

R:必要な対応

  • 治療追加と再評価時点、血液ガス・気道確保や上位管理の要否。

患者・家族への説明

発作時の計画を手元に

普段の薬、発作時に使う薬、連絡・受診のタイミングを書面で確認する。効かないときに使い続けて受診を遅らせない。

実際に吸って確認

器具ごとに吸い方が異なる。説明を聞くだけでなく実演してもらい、残量や困る点を一緒に確認。

症状がない日の治療

調子がよくても自己判断で予防薬を中断しない。運動は一律に禁止せず、管理状態と行動計画に合わせる。

参考文献

  1. 日本呼吸器学会:気管支ぜんそく

    慢性炎症、症状と長期管理。

  2. GINA 2026 Summary Guide

    増悪の評価と治療、吸入手技、行動計画。薬剤適応は国内添文を優先。

  3. PMDA:メプチンエアー

    発作時薬の使用と副作用。

  4. PMDA:フルティフォーム

    長期管理用製剤の適応と吸入後の観察。

資料確認:2026年9月15日。看護観察・報告は資料の病態とリスクを基に学習用へ整理したもの。施設の手順・個別指示に合わせて使う。

看護学習用の概念図。実際の形・大きさ・診断所見を再現した図ではない。

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