排泄援助技術 更新・文献確認:2026年8月28日

膀胱留置カテーテル

成人の経尿道的な留置を中心に、適応、無菌的挿入、尿を滞らせない管理、抜去後の観察までを絵でたどる学習ノート。

学習用。実施には訓練と施設の権限が必要。患者の状態、医師の指示、採用カテーテルの電子添文・表示、院内手順を優先する。

注意事項

このページの範囲
  • 成人の経尿道的な膀胱留置カテーテル
  • 急性期医療での挿入、日常管理、抜去
  • 小児、間欠導尿、膀胱瘻、持続膀胱洗浄は対象外
挿入を始める前
  • 尿道損傷が疑われる外傷、尿道手術後、狭窄・挿入困難歴は先に報告
  • 材質、ラテックス、消毒薬、潤滑剤のアレルギーを確認
  • 抵抗、強い疼痛、出血があれば無理に進めない
  • 膀胱内と確認できる前にバルーンを膨らませない

目的・主な適応

尿閉・排出路閉塞膀胱内の尿を持続的に排出し、過伸展を避ける。
正確な尿量測定重症患者など、厳密な時間尿量が必要な場合。
選択された周術期・長時間固定手術内容や長時間の不動に、明確な適応がある場合。
創部保護・苦痛緩和仙骨・会陰創の治癒や終末期の安楽に必要な場合。

代替手段が使えるかも確認。間欠導尿、体外式集尿器、排尿誘導などを患者ごとに検討する。

観察項目

全身状態発熱、悪寒、意識変化、循環・呼吸の変化。
自覚症状下腹部・側腹部痛、灼熱感、尿意、膀胱けいれん、違和感。
尿時間尿量、色、混濁、沈渣、血尿、血塊、急な増減。
カテーテルと回路屈曲、圧迫、たるみ、閉塞、尿漏れ、接続、バッグの高さ。
尿道口・会陰部・固定部発赤、腫脹、分泌物、びらん、浸軟、圧迫、牽引。

混濁や臭いだけでCAUTIと決めない。発熱、悪寒、下腹部痛・側腹部痛、循環や意識の変化などを合わせ、尿検査・培養の必要性を判断する。

必要物品

閉鎖式採尿バッグできればカテーテル接続済み。採尿ポートと排液口を確認。
無菌操作に使う物品滅菌手袋、滅菌ドレープ、滅菌綿球またはガーゼ、滅菌セッシ。
バルーン用シリンジと膨張液製品指定の種類・量を準備。量を「男女」で決めない。
  • 膀胱留置用カテーテル
  • 閉鎖式採尿バッグ
  • 滅菌手袋
  • 滅菌ドレープ
  • 滅菌綿球または滅菌ガーゼ
  • 滅菌セッシ
  • 尿道口清拭用の消毒薬または滅菌溶液
  • 単回使用の滅菌潤滑剤
  • バルーン用シリンジ
  • 製品指定のバルーン膨張液
  • カテーテル固定具
  • 防水シート
  • 非滅菌手袋
  • エプロンなど必要なPPE
  • 廃棄物袋・容器
  • 必要時、尿検体容器

サイズ、材質、洗浄液、潤滑剤、膨張液、バルーン容量は製品と施設で異なる。開封前にラベル・電子添文を確認する。

挿入の手順

  1. 適応・本人・リスクを確認

    指示、目的、アレルギー、排尿歴、尿道損傷や挿入困難の可能性を照合。説明して同意を得る。

  2. プライバシーと体位を整える

    必要部位だけ露出。防水シートを敷き、手指衛生と必要なPPEを行う。

  3. 無菌野を作る

    物品を無菌的に開き、滅菌手袋とドレープを使用。閉鎖式回路を保つ準備をする。

  4. 尿道口を清拭し、十分に潤滑

    清拭方向と使用液は院内手順へ。清潔にした先端とカテーテルを汚染しない。

  5. カテーテルをやさしく進める

    尿道の走行に沿って挿入。抵抗、強い痛み、出血があれば止め、無理に押し込まない。

  6. 膀胱内を確認してバルーンを膨張

    尿流出後も必要な深さまで進める。膀胱内と確認後、表示どおりの液・量をゆっくり注入。

  7. 固定し、尿が流れる位置へ

    男性は包皮を元に戻す。牽引なく固定し、回路を屈曲させず、バッグを膀胱より低く床から離す。実施内容を記録。

留置中の管理

閉鎖式回路を保つ

カテーテルとバッグを不用意に外さない。

接続外れ、漏れ、無菌操作の破綻があれば、院内手順に沿ってカテーテルと採尿バッグを無菌的に交換する。

重力で流れる道を作る

膀胱 → チューブ → バッグを下り勾配に。

屈曲、体や柵による圧迫、低い位置のたるみを直す。バッグは膀胱より低く、床に置かない。

バッグを定期的に空にする

患者ごとの清潔な容器へ排液。

排液口を容器や床へ触れさせず、飛散を避ける。量と性状を観察・記録する。

日常の清潔と固定

入浴・清拭時の通常の衛生ケアが基本。

CAUTI予防だけを目的に、留置中の尿道口へ消毒薬を反復使用しない。固定部と皮膚も観察する。

尿検体は採尿ポートから

少量の新鮮尿は、消毒したポートから無菌的に採取。

尿培養をバッグ内の貯留尿から採らない。製品と検査部門の手順を確認する。

抜去の手順

  1. 抜去の指示・条件を確認

    留置継続の必要性、抜去時刻、再留置時の対応を確認。説明し、バッグ内尿量を記録。

  2. 物品と体位を整える

    記録されたバルーン量に合うシリンジ、防水シート、手袋、清拭物品、廃棄物袋を準備。

  3. バルーンを完全に収縮

    製品の方法で膨張液を戻す。量を確認。戻らない場合は引かず、無理な吸引や切断をしない。

  4. 呼気に合わせてやさしく抜く

    力を抜いてもらい、ゆっくり抜去。抵抗、強い痛み、出血があれば止めて報告。

  5. 抜去後を観察・記録

    カテーテルとバルーンの破損・欠損、尿道口、排尿時刻・量・症状を確認。尿閉が疑われれば膀胱容量を評価。

通常、抜去前のクランプは必要ない。抜去後の観察時間、膀胱スキャン、再導尿基準は院内手順を優先する。

関連知識

バルーン量は性別で決めない

カテーテル本体・ファネル・ラベル・電子添文の表示が基準。

10mLの製品もあるが、すべてに共通しない。膨張液の種類も製品指定を確認する。

尿が出ないとき

患者 → チューブ → バッグの順に確認。

循環・水分出納、膀胱部症状、屈曲・圧迫・たるみ、バッグ高、血塊・沈渣、位置異常を評価。自己判断で洗浄しない。

「定期的に行う」とは限らない

固定日数での交換、予防的な膀胱洗浄、抗菌薬投与は原則ルーチンにしない。

閉塞、感染、回路破綻などの臨床的理由と製品の使用期間を合わせて判断する。

主な合併症

CAUTI、尿道損傷、血尿、閉塞、尿漏れ、膀胱けいれん。

長期留置ではびらん・圧迫損傷、結石・付着物、活動制限、自己抜去にも注意する。

出典