循環器

SSS(洞不全症候群)

めまい・失神が起こった瞬間の心電図と循環を結びつける。脈拍の数値だけで治療を決めず、薬剤などの可逆的な原因、生活中の症状、頻脈から徐脈への変化を確認する。

主な症状
めまい 失神 疲労 頻脈との交代
代表的な薬
アトロピン
検査値UP
検査値DOWN

検査値は代表的な変化。全例に共通する診断基準ではなく、病期・治療・併存症で変わる。

病型と病態のつながり

徐脈・洞停止:必要な心拍を保ちにくい

徐脈・洞停止:必要な心拍を保ちにくいと症状の関係を示す模式図洞結節の機能・伝導が低下洞結節刺激が遅い・途切れる必要な心拍が不足低灌流 → めまい・失神・疲労症状時刻 + 心電図 + 脈・血圧を照合
  1. 洞結節の機能や周囲への伝導が低下
  2. 心拍が遅い・間が空く・活動時に増えにくい
  3. 心拍出量が不足すると → めまい・失神・活動時疲労

観察へ:安静時だけでなく、歩行・起立などの症状と脈拍を同時に確認。無症状の遅い脈を病的と決めつけない。

徐脈頻脈症候群:頻脈の終了時にも注目

徐脈頻脈症候群:頻脈の終了時にも注目と症状の関係を示す模式図頻脈の後の洞機能回復が遅れる頻脈終了後に停止・徐脈血流不足なら症状動悸が止まった時点も観察症状時刻 + 心電図 + 脈・血圧を照合
  1. 心房細動などの頻脈性不整脈を伴う
  2. 頻脈の後に洞機能の回復が遅れ、停止・徐脈が起こりうる
  3. 動悸が止まった直後のめまい・失神 → 前後の波形を保存

観察へ:動悸が治まっただけで改善と判断しない。頻脈を抑える薬による徐脈悪化も確認する。

洞結節は心拍の開始を担う組織。図は電気刺激と症状の関係を示し、心電図波形や停止時間を再現しない。洞不全と房室ブロックは障害部位が異なり、区別には心電図等の評価が必要。

症状から観察・再確認へ

めまい失神

見る・聞く
発症時刻、姿勢・動作、前兆、持続、回復、転倒・打撲を確認。心電図と脈、血圧、意識・呼吸を同時に見る。
何を反映するか
徐脈による脳血流低下の可能性。起立性低血圧、低血糖など別原因もある。
普段と比較
発作前後のリズムと脈拍、血圧、服薬時刻、過去の同様の症状。
悪化を疑う変化
反復する失神、回復しない意識低下、冷汗・血圧低下・胸痛。
再確認
転倒を防ぎ安静を保つ。反応と呼吸循環を再確認し、緊急度に応じ応援要請。症状が消えても発作時波形を共有。

疲労活動時息切れ

見る・聞く
どの動作で疲れるか、脈拍の反応、呼吸数・努力、SpO₂と酸素条件、胸痛を確認。
何を反映するか
活動に必要な心拍増加が不足する場合がある。貧血・心不全なども考慮。
普段と比較
普段できる動作、同じ負荷での脈拍・症状、休息後の回復を比べる。
悪化を疑う変化
軽い動作で症状、安静時にも息苦しい、胸痛・失神を伴う。
再確認
無理な負荷をかけず休息後の循環を確認。活動範囲と追加評価を相談する。

動悸とその後の気分不良

見る・聞く
動悸の開始・終了時刻、連続心電図、脈拍・血圧、失神前兆と薬の使用を確認。
何を反映するか
頻脈と徐脈が交代することがある。頻脈後の停止を見逃さない。
普段と比較
頻脈中・終了直後・回復後を同じ記録に残す。
悪化を疑う変化
動悸が止まった直後の意識消失、長い停止と低灌流、頻脈中の胸痛・呼吸苦。
再確認
脈と循環が保たれるか確認し、前後を含む波形を保存して共有する。

植込み後の痛み腫れ再失神

見る・聞く
創部の出血・腫脹・発赤・熱感、発熱、胸痛・呼吸苦、脈拍とペーシング波形を確認。
何を反映するか
血腫・感染、リードや作動の問題、気胸・心損傷などを評価する情報。
普段と比較
処置直後と現在の創部、心電図、脈・血圧、呼吸状態。
悪化を疑う変化
腫脹の拡大、発熱と創異常、突然の胸痛・呼吸苦、徐脈や失神の再発。
再確認
緊急度を判断し、機器チェック・画像等を医師へ依頼。ペーシング刺激が見えるだけで有効としない。

看護判断:変化の緊急度

経過を観察

症状がなく循環が安定し、医師の評価と観察計画がある。

次の行動:睡眠・活動・服薬との関係を記録。心拍数だけで治療や活動制限を決めない。

早めに共有・報告

新しいめまい、活動時疲労、動悸後の気分不良、薬剤変更後の徐脈。現在の意識と循環は安定。

次の行動:症状と同時刻の波形・血圧・薬歴を共有し、可逆的原因とペーシング適応の評価につなぐ。

直ちに応援要請

徐脈に伴う意識低下・失神の反復、低血圧と低灌流、強い胸痛・急な呼吸不全。

次の行動:気道・呼吸循環を確認し急性徐脈への対応を準備。反応がなく正常な呼吸がない場合は蘇生手順へ移る。

緊急度の目安。施設の急変対応基準・個別指示を優先し、数値だけで経過観察を決めない。

看護行動:優先順位

1|失神によるけがを防ぐ

歩行・起立を中止し安全な姿勢を確保。患者を一人にせず、意識・呼吸・脈と血圧を確認する。

2|症状と波形を対応させる

モニターの電極・信号を確認し、症状前後の波形を保存。脈を触れ、表示心拍数と実際の循環を照合する。

3|治療と原因評価を準備

12誘導心電図、採血、静脈路、急性徐脈の処方薬・ペーシング物品を指示に沿って準備。薬歴・腎機能・電解質などを共有する。

4|薬剤変更後も再評価

β遮断薬、抗不整脈薬、ジギタリスなどの使用と変更時刻を確認。自己判断で一律中止せず、症状・循環と処方調整を共有。

5|ペーシング後は脈と生活機能も確認

心電図上の反応に加え脈・血圧・意識を確認。安静度・患側の動かし方は術式と個別指示に沿い、過剰な固定も避ける。

治療前・中・後の看護

可逆的な原因の調整

目的
薬剤・電解質・内分泌など、治療可能な徐脈の要因を改善する。
前に確認
全処方と最終使用、増減、腎機能、K、甲状腺などの検査指示を確認。
中に観察
薬の調整や原因治療中の心拍・症状・血圧を追う。
反応・再評価
徐脈と症状が改善したか、元の頻脈や基礎疾患が悪化していないか再評価。
適応・注意
原因調整だけで改善するかは個別判断。必要な薬を継続するためペーシングが検討されることもある。

アトロピン等:急性徐脈への一時的対応

目的
適応のある症候性徐脈で心拍と循環を改善する。
前に確認
指示、薬剤・濃度、禁忌・心疾患、脈拍・血圧・心電図を確認。
中に観察
心拍と循環、胸痛、頻脈・不整脈を観察し、投与時刻と反応を記録。
反応・再評価
脈が増えたかだけでなく、意識・血圧・末梢循環の改善を確認する。
適応・注意
効かない場合もあり、反復してペーシング準備を遅らせない。選択・投与は施設の急性徐脈手順と医師指示に従う。
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一時的ペーシング

目的
循環不安定な徐脈で、必要な心拍を一時的に補う。
前に確認
パッド・装置・静脈路、監視、鎮痛・鎮静の指示、次の治療計画を確認。
中に観察
刺激に続く心電図反応と実際の脈・血圧を確認。疼痛、皮膚、呼吸・意識、経静脈の場合は挿入部も観察。
反応・再評価
電気的反応と循環の改善の両方を評価し、反応消失・徐脈再発は即時共有。
適応・注意
装置設定は指示・施設手順に従う。刺激波形だけでは有効な拍出を保証しない。

永久ペースメーカー

目的
症状と関連する徐脈を補い、失神や生活上の支障を減らす。
前に確認
症状と徐脈の関係、可逆的原因、術式・デバイス、感染・出血リスク、抗血栓薬の指示を確認。
中に観察
術後の創部・血腫、呼吸・胸痛、心電図と循環を観察。離床・上肢運動の指示を確認する。
反応・再評価
失神・疲労の改善、機器チェック、創部・感染、活動への復帰を評価する。
適応・注意
停止時間だけで適応を決めない。房室伝導・心房細動・心機能等で方式が異なる。ペースメーカーだけで心房細動の脳塞栓リスクは解決しない。

検査の意味と読み方

12誘導心電図連続心電図

徐脈・停止・頻脈との交代を捉え、症状との時間的な関係を確かめる。

組み合わせ・推移:失神・ふらつきの時刻、体位、活動、直前の投薬を波形に添える。記録中に症状がなければ短時間の正常波形だけで除外せず、発作の頻度に合う長時間記録を相談する。

K

電解質による不整脈の要因を評価する。

組み合わせ・推移:異常値は徐脈以外のリズムにも影響。腎機能・薬・溶血の有無と心電図を合わせ、補正後も追う。

Kの検査詳細

クレアチニン

腎機能と薬物蓄積リスクの評価に使う。

組み合わせ・推移:数値だけで薬剤性と決めない。用量・最終使用・電解質と経時変化を確認。

クレアチニンの検査詳細

甲状腺機能

甲状腺機能低下などの可逆的要因を調べる。

組み合わせ・推移:TSHと遊離ホルモン、症状を組み合わせる。洞不全そのものを診断する検査ではない。

心エコー

心臓の構造・機能を調べ、徐脈に併存する心疾患を評価する。

組み合わせ・推移:心電図と病歴を合わせる検査で、洞結節の働きや失神の原因を心エコーだけで決めない。息切れ・浮腫・血圧などの変化と前回所見を共有する。

ペースメーカーの機器チェック

植込み後の電池・リード(心臓へ刺激を伝える電線)などの状態と作動を専門担当者が確認する。

組み合わせ・推移:新しい失神・めまい・息切れは定期点検を待たず、現在の脈・心電図・循環と発症時刻を共有する。機器確認や設定変更後も症状と循環を再評価し、設定は独断で変更しない。

運動負荷心電図

活動に必要な心拍数の増加が得られるかを、症状と合わせて評価する。

組み合わせ・推移:労作時症状がある場合などに医師が検討する。普段どの動作で症状が出るかを伝え、監視下で実施。病棟で症状を再現するため無理に歩かせない。

報告:SBARで情報をそろえる

S|何が起きたか

  • 失神・めまい・胸痛の開始と持続、現在の意識・呼吸・脈・血圧。

B|背景と治療

  • 既往、服薬と変更、植込み機器、発症時の動作・姿勢、酸素・点滴条件。

A|同時刻の所見

  • 症状前後の波形と心拍、脈・血圧、検査、実施した安全確保・処方治療と反応。

R|依頼

  • 診察、急性徐脈の治療・ペーシング準備、薬剤調整、追加記録・検査の指示。

患者・家族への説明

症状の時刻を伝える

めまいや動悸がいつ・何をしているときに起きたか記録。失神前兆では無理に歩かず助けを呼ぶ。

自己判断で薬を変えない

脈が遅い・動悸が増えたなどの変化を連絡し、処方を確認する。

植込み後の生活を確認

手帳を携帯し、検査・処置前に機器情報を伝える。MRI等は機器と実施条件を確認する。定期点検、創部異常や失神時の連絡先を確認。

参考文献

  1. 日本循環器学会・日本不整脈心電学会:不整脈の診断とリスク評価2022(公式英語版)

    II.1.1.4および表13の本文を確認。症状と心電図の対応、基礎心疾患の評価、発作頻度に応じた記録、運動時症状の評価を参照。日本語PDF全体を確認したとの意味ではない。

  2. AHA:2018徐脈ガイドラインの要点

    症状と徐脈の関係、固定の心拍・停止時間だけで適応を決めない。

  3. NHLBI:刺激伝導の障害

    洞機能、症状、他の伝導障害との区別。

  4. NHLBI:ペースメーカーのある生活

    2022年3月更新本文を2026年9月16日に確認。電池・リードの点検、機器情報と、新しい失神・めまい・息切れ時の連絡を参照。

  5. PMDA:アトロピン電子添文

    適応と禁忌・循環器系の注意。

資料確認:2026年9月15日。看護観察・報告は資料の病態とリスクを基に学習用へ整理したもの。施設の手順・個別指示に合わせて使う。

看護学習用の概念図。実際の形・大きさ・診断所見を再現した図ではない。

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